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精神分析編
1. 精神分析による心理の考え方とは
  ここでの説明は「心理科学」論ともいうべき哲学的な話題が中心となりますので、心のメカニズムの説明を早く読みたい場合は飛ばしてもさしつかえありません。

  このサイトでは、心の病に関連する心理現象の発生メカニズムについて、精神分析理論を応用した考察を行います。
  精神分析理論によって心理を考察するということには、大きな2つの特徴があります。「要素とその相互作用」という科学的理論として考察することと、「無意識」という概念を使用することです。

思考と感情に関する科学的理論
  「心の病とは」で述べたように、このサイトの基本姿勢は心の問題を科学的理論として研究するということであり、どうゆうことかというと「要素とその相互作用」によって分析し、全ての現象を一貫した論理により説明する(網羅性と一貫性)ということです。これにより、一度正しい説明が確立すると、それは例外なく同じような現象を説明でき、我々は同じ思案を繰り返すことなく先へ進むことができます。
  自己や他者に関する思考感情といった高度な心理現象について、そのように分析的な理論を持つのは精神分析理論です。例えば、精神分析理論にも様々なものがありますがその元祖であるフロイトの理論では、心理を「エス、自我、超自我」と言った要素と、「抑圧、昇華、退行」と言った相互作用で説明しています。
  同じように「分析」的な理論を持つものとしては、分析と名のつく代表的なものとして、あとは交流分析があると思います。これは心理現象を、一人の人間の中の「親(P)、子(C)、大人(A)」という要素で構成されているものとし、それぞれの強さのバランスや相互の対話という作用で説明するものです。しかしこのP/A/Cという要素は、心を分析した要素というよりも、一種の比喩のような大まかな話であり、分析のレベルとして当サイトが求めるものとは異なるものと考えています。

  このように、当サイトでは「要素と相互作用の理論」ということで科学的といっており、「客観的な観察による実験」によるということでの科学性は求めていません。なぜなら研究対象とする心理そのものが客観的な観察はできないからです。
  客観的な観察により計測された事柄以外は科学理論として認められないなどということは決してありません。その具体例は量子理論です。TSが数年前に一般向けの量子理論の本を読んだ記憶ですが、現在の量子理論では、電子の位置と速度は同時には測定できないという性質があるようで、客観的には一定の確率の中にあるということです。位置と速度にばらつきがあるという確率の話ではなく、測定するという行為を含むことによって位置や速度といった客観的物理量が発生する、というような話だったと思います。ちょっと形而上学的な深遠な話ですね。なぜ「観測行為により物理量が発生する」のかという話になると、次第に、意識と物質という哲学的な話になってきます。そもそも人間の意識があって物質という観念があるので、つきつめるとその境界がどこにあるのかという問題に触れてくる部分が、科学の中にもあるようです。量子宇宙論などもそんな感じですね。

  思考や感情となると、あくまで行動ではなく内面の心理過程が対象ですから、もはや客観的な内部メカニズムの観察というものはありえず、人の行動感情を観察するにも結局自らの心を内観して認識できる範囲で要素分析をするという方法にならざるを得ません。
  では、こうした心理分析理論のどれが正しいかをどう判断すればいいのでしょうか。
  これは、各自が最も納得のいくものを選ぶというしかないのだと思います。
  次ページ以降で詳しく心理理論の説明をしますが、これは主にカレン・ホーナイの精神分析理論を基盤にするものです。一方上に述べたフロイトの理論はほとんど採用していません。理由は、TSにはフロイトの言うことが良く分かららず、何かを説明しているという納得を得られないからです。これに対してホーナイの理論では、基本的不安とか理想化された自己像とか、自分自身が生きてきて体験した思考や感情を直接指すような、とても分かりやすいものになっています。

無意識の概念
  精神分析が思考感情を要素分析した理論だということに加えて、もうひとつの大きな特徴が無意識という概念を使っていることです。TSはフロイトの最大の功績はこの概念を導入したことにあると思っています。
  詳しい話はあとの心理論そのものの中で色々出ますが、無意識というものには2つのものがあります。ひとつは、思考や感情の要素そのものに、実際存在するのに本人にはっきりと自覚されていないものがあるというものです。多くの場合この原因は、それを自覚することが心理的動揺をもたらすため、はっきりと自覚されないよう覆いがかぶされたような状態にあるものです。心理療法の過程では、この覆いが除かれ、無意識であった感情が意識化された上で適切に克服されるという過程が治癒の段階で生じます。
  もうひとつの無意識は、心理要素同士の間の相互作業が意識されないというものです。例えば不安症状の原因は無意識下での自己理想化破綻や人格分裂の予期などが考えられますが、これらの因果関係は意識されず結果としての不安のみがあたかも理由のない不安として知覚されます。このような相互作用(因果関係)の無意識は最後まで意識化されず、原因である自己理想化や人格分裂が消失すると同時に特定の不安が消失するという現象から、その因果関係が確かめられるものです。この場合別の言い方をすれば、不安症状は治療上直接なくそうとすることはできないということになります。


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