■ 極刑の早期執行を望んだ宅間守 / しまの |
|
明日仕事が休みなので、酒飲みながら夜更かしモード。 結構長くなったので、いずれcolunmに移すべきか。。。
死刑が確定した今月26日に戸谷弁護士あてに書いた手紙が公開されたとのこと。
手紙で宅間死刑囚は「6カ月以内、できたら3カ月以内の死刑執行を望みます」とあらためて早期執行を要求。死刑確定から6カ月以内に法務大臣が執行命令を出すことを定めた刑事訴訟法475条を引き「法は順守すべきである」としている。 。 一部の学者や著名人が「本人の思うつぼだから(執行を遅らせ)塩漬けにせよ」という趣旨の考えを持っている、と指摘した上で「無差別殺人をしようとする者は、何年も不快な思いをさせられるよりその場での自爆を考える。その方がずっと大量に殺せる」などと反発している。
お勧めする思考体系ということで「契約思想」という言葉を以前使いましたが、「自由思想」という方が適切だと最近感じています。 「人間はこう生きなければならないという基準など何もない。全ては自由な自分の欲求に生きればいい。幸福は欲求全体が調和のとれた充足として目標。人との和も人間の自然な欲求だから、決して自分勝手な生き方ということではない。」という考え方。
これは、心の健康を損なう「べきの怒り」から完全に脱却した生き方を狙っての考え方です。 それでも人間同士の争いの回避や、社会の平和のために、縛ることも必要になる。それが契約、つまり約束という考え方です。 感情や情緒は自分の幸福のための指標にはするが、人を律する指標にはしない、という考え方です。
抽象的で分かりにくい話のようですが、そんな「自由思想」から上の話にコメントつけると、以下3点。
1)「法は順守すべきである」という宅間の主張 その言葉は、お互いに約束を取り交わした時に意味のある言葉。 宅間は今回、法という約束を破ってこの場にいるのだから、これでは「自分は約束を破ったがお前は守れ」ということで、もはや意味のない言葉です。
2)「一部の著名人は塩漬けにせよと言った」 これが宅間の虚言でない事実だとしたら、この著名人は少し感情に流されてるかも知れない。 刑事処罰は、本人の更生の目的以前に、ルール違反という事実を罰し、同じことを防ぐためのものと考えます。スポーツにおけるペナルティと同様で、本人の反省意識の有無で変えるのはあまり望ましくないと考えています。 法で決めた以上の、「塩漬けにする」等、憎悪や怒りからの復讐行動は、それ自体が違法です。
もし、被害者の遺族が違法を覚悟で、刑事処分を超えた復讐行動をしたら、我々はどう考えるべきか。 現在の法からは、この遺族も罰せられるべきということになります。 ただし、法はあくまで我々社会が決めたことであって、我々社会がそれを変えようとするかどうかは、善悪の問題ではなく意思の問題です。
3)「その方がずっと大量に殺せる」 彼は結局最後まで社会への憎悪の中にいるようです。
ここからは、「自由思想」を超えて、このサイトの人間観、そして性善説に立ったコメントです。 (つまり自由思想という言葉でも不足してたんだなぁ。。)
社会に対する彼の憎悪に、我々が怒りを向けたところで、何かが戻るわけでもなく、彼が変わる訳でもないでしょう。 一方的に彼に怒りを向けるのではなく、理解することが次につながることと思います。
心理学という客観的な立場からは、彼も人間の心を持った存在であり、屈辱の中で生き、人生そのものへの嫉妬から、人の痛みへの共感を失ってしまった人間であることが理解できます。 そして、それが彼本来の本性ではないことは、彼が今早期の執行を望んでいることに、恐らく彼自身が自覚していない形で表れているように思います。
刑が執行され、失われる命は、彼自身の手によって失われた命と同様に、悲劇です。 受け入れられない異常な人間がいたのではなく、受け入れるべき心の罠に落ちた人間がいただけです。 同じ心の罠が、自分の中にあることも、人の中にあることも、私は受け入れています。 |
No.87 2003/09/30(Tue) 23:55
|