心の成長と治癒と豊かさの道 第5巻 ハイブリッド人生心理学 実践編(上)−心と人生への実践−

まえがき

 

 『入門編』『理論編』ではそれぞれ、ハイブリッド心理学からの生き方思想、そして心のメカニズム理論を説明しました。

 この『実践編』では、ハイブリッド心理学の「取り組み実践」の具体的な内容を、事例紹介を交えて詳しく説明していきます。

 

 生き方思想や心の成長の理論を学ぶことと、実際の場面において意識する内容は、また大分違った話です。そこにはまず具体的な生活場面の問題があり、いまだ進む先が見えていない心が、話の内容の大きな部分になってくるからです。何を変えることで次にどこに向かうことができるかは、それらの状況に応じていろいろと変わってきます。

 そうした「心の現状と次の進み先」を整理していくと、大体においてこの内容と手順で確認と検討を進めて見るのが良いという、実践の細かいメニューと順序が見えてきます。

 それを全て網羅的に整理したのが、ハイブリッド心理学の「取り組み実践」と呼んでいるものになります。

 

 ちょっとした思考法の知恵とノウハウで、心の悩みや日常生活のあり方が大きく変わってきます。

 それはあまりにも確実で効果が高いにも関わらず、社会で人に教えられることがあまりないことに、私は驚いているくらいです。

 この『実践編上巻 −心と人生への実践−』では、そうしたごく実践的な思考法と行動法の知恵とノウハウを中心に、ハイブリッド心理学の取り組み実践の比較的初期の段階における内容を収録しました。また、取り組み全体での実践項目や進み方の道のりの概要も説明していますので、より本格的な実践をされたい場合にも、まずはこの本を入り口として頂けます。

 またこの『上巻』では、ハイブリッド心理学の理論についての詳しい理解は必要とせずに、すぐに入れる内容を収録しています。ハイブリッド心理学とはどんなものかをまず知りたい方から、理論を含めてじっくり学びたい方まで、さまざまな方に役立てて頂ければと思います。

 

 一方、心の障害傾向の有無とその深刻さによって、人それぞれの進み方は大分違ってきます。その違いについても、この本では実際の事例として説明しています。

 最も深刻なケースでは、まずは絶望を脱し、自分自身に優しく向き合う姿勢を回復することが、まず最初にできることになるでしょう。

 心の障害によって人生を見失いかけている人の場合は、これを機会に、人生への考え方を根本から見直し、やがてごく普通といった心の健康をはるかに超えた成長に向かう道へと、舵を変えるのがいいでしょう。

 もとから比較的健康な心であった場合、思考法を変えることで劇的に心の問題が解決し、さらには「否定価値の放棄」という、ハイブリッド心理学のひとまずの習得目標にまで至ることもできるかも知れません。

 

本格的な取り組み実践のための読み方

 

 この本をより有効に役立てるにあたり、3種類の読み方を考えて頂くのが良いかと思います。

 まず一つは、ざっと流し読みして、心の変化の流れを感じ取ることです。あまり頭に入ってこない、心に響かない内容は、飛ばして読んでもかいまいません。表にまとめた細かい内容は、ほとんど無視してかまいません。

 これによって、どんな心の状態の人が、どんな取り組み実践によってどのように変化できるのかの流れを、まずつかんで頂くと良いでしょう。

 それが、この心理学の取り組み実践に入るための良い動機づけになってくれるでしょう。ゴルフをする場合にたとえるなら、まずはゴルフの試合のビデオを眺め、ゴルフの楽しさを感じることに相当します。

 次に、実際に自ら取り組み実践を進めるために、役に立ちそうな章を、しっかり理解を図りながらじっくり読んで頂きます。本文中心です。表の内容もざっと目を通し、おおまかな実践項目を憶えるのが良いでしょう。

 これは取り組み実践の実際の進め方を理解することに相当します。ゴルフの教習本を読んでみることに相当するでしょう。

 そして最後に、いつでも適宜、細かく正確な確認をするために読む段階です。これは実際にゴルフのグリーンに出た時に携えていく、スイング動作のマニュアルのような使い方です。

 表にまとめた細かい内容が、ここで活躍することになります。辞書を適宜引くような感じて、表にまとめられた内容を確認すると良いでしょう。

 

 ですから私はこの本を、一度読んでどう感銘を受けるかというよりも、人生を通して携えていくものにして頂ければと思っているのです。

 ではその第一歩を、共に踏み出しましょう。

 

2009年6月

島野 隆

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