ColunmとEssay
03 日本人はやはり心を病みやすい? |
2003/08/19 |
先月7/13の新聞で、各国の精神医療の病床数というのが出ていました。
確か人口1000人あたりの数ということで。
どの国も大体0.x台で、1.xというのが僅かにある中で、日本は何とだんとつの2.8だったかな..
日本の同属社会が精神を病みやすい文化だという指摘は良くあると思います。
私も確かにそうだとは思っていましたが、ここまで極端に日本が心理障害親和型の文化だとは驚きです。
確かに、日本人の言うことって(..って私も純日本人ですが)、普通の人が言う言葉の中に、「善悪の一人相撲」が多いですね。
ちょっと話が難解になるかもしれませんが、人間の思考体系には歴史文化を通じての分類があります。
つまりその人の生き方考え方が全く違うパターン。
価値観としては、「善悪思想」と「契約思想」。
善悪思想のほうがどっちかと言うと心理障害と親和的。
人生観としては、「宗教思想」と「自己建設思想」。さらに宗教思想から他力本願の勝手な理論だけが一人歩きして真摯な宗教心を失ったものが「ひとり善がり思想」。
ひとり善がり思想はまさに心理障害の生みの親とも言えるものだと思います。
最近、池田昌子さんという執筆者の方の、「14歳からの哲学―考えるための教科書」という本が話題になりました。「言葉」「自分とは誰か」「死」「家族」「社会」「理想と現実」「恋愛と性」「メディアと書物」「人生」とかがテーマらしい。
私はこの本は読んでないので、彼女の思想に対する自分の意見がどうなるかも分らないのですが、まず感じたのは、これが話題になるほど、日本人は哲学思想に疎遠なのだなあということです。アマゾンのこの本のレビューにも、「考えるという習慣、ものごとの真偽を問うという習慣が、極論してしまえば、皆無の一般的日本人(現代人)」という言葉がありました。
心の健康な人が、あまり考え過ぎずに幸福な人生を送るうちは別に構う話ではありませんが、これ程心理障害の多い日本においてこの状況というのは、ちょっと問題だと感じています。
いやむしろ、哲学的なあいまいさに徹して感情に流れるという日本人の思考パターンそのものが、心理障害の蔓延の一因とさえ、私は最近感じています。
ここで一言だけ説明しておくならば、「こう感じるのは自分のせいでなく人のせい」という、心理的自己責任のない思考体系が決定的な要因です。
このサイトの説明の前面にはあまり出していませんが、心理障害の「症状」とは扱われることのない、「思考体系の分類」として表現されるものに、障害発症と治癒への根本的な要因があるというのが私の考えです。
これは本来、心理学でもなく、精神医学でもない、哲学や倫理学の話です。
日本の学校には「道徳」や「倫理」の授業がありますが、これは日本人の心の健康向上のために重大な役割を本来担っているものと言えるでしょう。ところが現実は果たしてどんなものでしょうか。。
「暴力はいけないことです」。
そんな皮相な話をするのではなく、価値観や人生観には、人類の歴史を通してどのようなものがあり、どのような役割を担ったかを説明すべきでしょう。生徒がどれを選ぶかは、その生徒が独立した個人として自由に選択するに任せたい。
そして、心の健康とは何か、思想の違いと心の健康への役割。そこまで学校の授業で教えるようになれることが目標だと思います。
私は実はカウンセラーというよりも、そのような思想教育の方が自分の目指すものかと感じたりもしています。
このサイトにも、「哲学倫理と心理障害」というコーナーをそのうち設けようと思っています。