ColunmとEssay
根本的な治りへの心がまえ
02 悪感情に対面する 2003/05/10

 心理障害というものは、実は、下のような2重の構造になっています。
 これが、心理障害を治すのをとても難しくしている原因です。

  1)過去の原因によって悪感情が生まれている
...これは虐待など児童期までの不適切な環境から起き、主に、「自分は駄目な人間」だという感情と、その感情を植え付けた他人への憎しみがあります。
           ↓  ↑
  2)その悪感情から逃れ相手を見返せるような人間にと、自分を仕立て上げようと自分を追い込む
...この追い込み方に、心理障害特有の特徴があり、本人が必死になるほど、裏で悪感情が増加します。
専門的な言葉では、この自分の追い込み方に、「自己疎外」「現実乖離」「人格分裂」「自己破壊」という4つの病理現象が発生します。

 人が心理障害の辛さから精神科やカウンセリングに助けを求める時、その人は 2) の、自分の仕立て上げへの助けを求める気持ちの虜になっています。

 本人は悪感情から逃れることで気持ちが一杯なので、結局、自分の仕立て上げに何となく合いそうなアドバイスだけを好み、せいぜい一時的に気分が紛れる程度で、すぐ同じ悪循環に戻ってしまうのです。

 2) の「自分の仕立て上げ」の方が、実は 1) の悪感情そのものより、心理医学的には有害度が大きいので、本当は、まず自分の仕立て上げ傾向を自覚してそれを放棄することが最初に望ましい治療手順なんですね。

 まずは、悪感情から逃れるために、自分を無理にとりつくろうとしないことを、心がけて下さい。
 その結果、もとの悪感情に対面してしまうのは苦い思いでしょうけど、むしろそれが正しい治りの途中段階と心がけて下さい。


 この「自分の仕立て上げ傾向の放棄」は、色々具体的な内容がありますので、別途説明します。
 また、このようなことをちゃんと把握してくれる療法家やカウンセラ−を選ぶことをお勧めします。


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