入門 健康な心への道  -怒りのない人生へ-



1.はじめに


 この「入門 健康な心への道」では、このサイトで提供している心理学が大体どんなものなのか、できるだけ簡単に説明したいと思います。

 「心のもちかた」によって気分や感情も変わる、人生さえも変わると良くいいます。
 確かにその通りだと思います。

 そこで、何を目標にした「心のもちかた」を考えるか。
 仕事で成功するためとか、恋人が欲しいとか、目標によって「心のもちかた」というのも少し違った話になってきます。

 このサイトで提供するものも、やはり、「心のもちかた」に関する知識です。
 そしてこのサイトで目標とするのは、「人生を幸福に生きる自分の能力を最大限に伸ばす」ことです。
 
心理障害と「人生の幸福」

 幸福をめざす「心のもちかた」にも、色々な考えがあるでしょう。
 このサイトで説明するものは、その中の一つということで参考にして頂けたらと思っています。

 いろいろある「幸福をめざすための考え方」の中で、このサイトの特徴は、心理障害についての研究から生まれたものであることでです。
 心理障害とはまさに、人生の幸福を感じ取る能力を損なう病のように思えます。これは、このサイトが最も基盤にしている精神分析学者のカレン・ホーナイの言葉でもあります。

 心理障害の中で、人が人生の幸福を感じる能力を損なっているものは何か。それを取り除くことは、より幸福な人生への可能性を確実に大きくしてくれるものです。

 このサイトは当初、心理障害の治癒のための、心理療法を考えることを目的として考えていました。
 私自身の心理障害が、前半生を通して完全に克服できた経験から、より効果的な心理療法の形をつくろうと思ったわけです。

 でも目的はやはり「障害を治す」ことではありません。「人生」を自分の手に取り戻すことです。

 「障害の治療」というならば、精神科医のお医者さんとか、カウンセラーの人が、「もう治りましたよ。これで治療は終了です。」というのが治癒の「しるし」になります。
 でも、自分の人生を本当に自分のものにできたかどうかは、人に判断してもらうことはできません。
 そもそも、何をもって、私たちは「障害」だとか、「異常」だとか考えるのでしょうか。

 もちろん脳の器質的障害が原因になっている心理機能の障害でしたら、全く話は別です。この場合はしかるべき医学的治療が必要です。
 でも、私たちが自分の人生に悩み、心が揺れ動いていることそのもののを、「障害」というならば、それはもう「普通の人」を基準にしたレッテル貼りでしかないでしょう。

 ですから、このサイトで説明する取り組みは、「障害の治療」とは私はもう考えないようになっています。
 人生で一番求めるものに、自分が近づけない理由を探り、それを克服する。一番求めるものに近づくために自分の全力を尽くせるようになれる。
 そんな目標に向かっての、「心のもちかた」を紹介します。


ひとつの「心理療法」として

 そんな取り組みの中で、心理障害も自然に治る。だからいちおう、これを心理療法と位置付けてもいます。
 でも目指しているのはそれ以上のものです。
 この取り組みの中で、心が健康になっていき、心理障害はもう起こらなくなり、やがては世間一般の人よりも健康で、生き生きとした人生を送るようになれる。

 実際、私の本業は企業での仕事ですが、今ではもう仕事でストレスを感じることさえもほとんどなくなってきました。

 一般のカウンセリングでは、「誰でもそんなことはある」と考えて心がなごむので終わりがちです。カウンセラーは大抵、「私だって訳もなく憂うつになることはある」と言います。
 それは違うと思います。それ以上の心の健康というものが、実はあるわけです。

心の学習

 では実際にどんなものかですが、このサイトの印象として多分感じると思う点についてまず触れておきたいと思います。

 それは、沢山の「理論説明」つまり理屈があるということであり、その勉強をして頂きたいと思っているということです。

 私たちは今日、科学の発展の恩恵をさまざまに受けています。
 中でも医学の進歩などは、数世紀まえであれば平均寿命のような年齢でも、今日においては若々しさを維持することを可能にしました。
 その分、私たちはTVなどのメディアを通して、日々大量の知識を受けとり、自然に勉強をしています。

 科学以外でも、たとえばスポーツ。
 単純そうな、「走る」「泳ぐ」だけでも、何とたくさんの走法や泳法が作られていることか。
 今時のスポーツ選手は、かつての「体育会系」のイメージから、「研究者」のイメージに移り変わっています。
 ならば、「人生の生き方」という、これほど重要なことについて、沢山の勉強があってもいいのではないでしょうか。

 実際、「生き方」に関する本なら、山のようにあります。
 問題は、個人の宗教や信条には左右されない、学校の教科書に載せられる科学のような、本当に確実な「生き方の理論」とは何か、ということでしょう。
 このサイトの心理学は、そのような確実なものを抽出し、整理することを目指してできているものです。

 もちろん、「勉強の時間」そのものは人生そのものではありません。単に「知識がある」ことと「実際に体験する」ことは大分違います。人生とは、知識を持つことではなく、体験することです。
 こんな話もその一つとして、よりよい人生の体験を送るための、「知恵」。それをこの現代にふさわしい学習として考えたいと思います。


2003.10.26


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