ハイブリッド心理療法とは

4.自己建設型の生き方学習

 最初の取り組みとして、まず心理的健康を代弁するような、そして心理障害とは無縁でありそれを駆逐できるような、建設的な生き方とはどのようなものかを学習します。

 この段階ではまだ、感情までその生き方に沿うものになることは求めません。
 とにかく混乱した思考をすっきりさせ、望ましい生き方とはどのようなものかという理性をしっかり確立するのが目標です。
 もちろん言葉を覚えるだけでなく、今の自分の生き方を考えながら、納得できるかどうか考えて下さい。
 「今の自分は大分違う。だがそのようになりたい。」と思えればひとまず達成です。
 また、次の感情分析に進んだ後も、何度でも自分に問い直して下さい。

 心理障害を生み出す生き方とは、善悪評価と「べき」に生きる「ひとりよがり型」の姿勢です。
 「良いことをすれば報われる、世界が自分を幸せにすべき」という他力本願の姿勢です。
 自分の信念を絶対視する結果、不合理思考や罪悪感、敵意、自己嫌悪などの、心理障害の元といえる感情が非常に生み出されやすくなっています。

 心理的健康を促す生き方としてこの療法で採用するのが、自由と自発的欲求に生きる「自己建設型」の生き方です。
 イメージにひたるのでなく、現実世界において良い結果を生み出すことを目標にする姿勢です。
 人間欲求を平等な自由として認め、自分の欲求が満足されるかは自分の思考法行動法の問題とします。
 そのために合理的な思考法行動法が各種用意されます。

 先に述べたように、この生き方そのものは心理障害や心の健康とイコールではありません。
 しかし、人を心理障害に陥れる感情とは、「否定的な対人感情の中で他を見下す勝利」への衝動や、「苦しみの見返りを求める復讐」への衝動です。
 このような感情は、善悪に生きる姿勢と親和性が高いのです。
 一方、自由と自発的要求に生きる姿勢からは、このような衝動は全く無益であり、維持される余地はありません。
 そのような感情が人格の根底で起きているのが心理障害です。
 次の感情分析でそれと直接対決するための武器として、この新しい生き方が必要になるのです。

 このサイトの「「自己建設型」の生き方へ」が教材です。
 他の図書としてはD・バーンズの『いやな気分よさようなら』を推薦します。「ダブルカラム法」とかの認知療法の説明そのものよりも、その前後の、バーンズの人間観が、当サイトでいう自己建設型の生き方に一致しています。
 今後もなにか増えましたら追加致します。


2003.5.30
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