１．はじめに・４つの話の領域
２．心の問題とその克服ゴール
３．取り組み実践
４．心の成長変化
（１） （２） （３） （４）
５．歩みの道のり
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まえがき １．はじめに・４つの話の領域 ２．心の問題とその克服ゴール ３．取り組み実践 ４．心の成長変化 （１） （２） （３） （４） ５．歩みの道のり (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) |
４．心の成長変化 （１）ハイブリッド人生心理学が考える「心の成長変化」とは
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ハイブリッド人生心理学が考える「心の成長変化」とは ハイブリッド心理学が考える「心の成長変化」とは、「５つのベクトル」と「１つの特別形」として、それぞれを一つの言葉で言い表すことができるものです。 「５つのベクトル」とは、心の成長変化が向かう５つの方向性を指すものです。これは「成長」、「治癒」、「浄化」、「成熟」そして「超越」です。 「１つの特別形」は、心の成長変化の様子として特別なものであり、５つの方向性が合わさりながら起きるものです。これは「心の死と再生」です。 これらがそれぞれ、何を指すものであるのかを、まずはキーワードのレベルで図にしたものが下の「心の成長変化の概要図」になります。 要点を説明していきましょう。 心の成長変化の概要図 （印刷すると２つのページに分かれる場合があります）   「感情を鵜呑みに考えない」という全てのスタート 上の図にまとめられるような「心の成長変化」の全体を理解するために重要なのは、それらの全てが、「動揺する感情を克服したいのだから、まず感情を鵜呑みに考えない」という自明の原則で始まる、「外面行動は建設的なもののみ、内面感情はただ流し理解する」という「感情と行動の分離」の両輪、そしてその両輪を携えて「望みに向き合い向かう」という生き方の軸という、つごう３つの軸に、如実に対応したものであるということです。 「動揺する感情を克服したいのだから、まず感情を鵜呑みに考えない」という自明の原則を、「本心」から、そして心の底から、自らのものとするかどうか。これが全ての始まりであることは、容易に理解できることだと思います。でないと、全てが、動揺する感情に操られる今の心のままになってしまいます。ですからまずは、「「学び」の主要テーマ」の中で「感情と行動の分離」について説明したように、感情に流される思考とは別の思考を持つようにするのです。 ところがこの最初の大原則が、実は心の底では自分のものにできていない方が多いようです。 ありがちなのは、「感情を鵜呑みにしないことから始まる学び」を聞き、これは信頼できそうだと感じ、アドバイスを受けている間は「言われた通りに実践」を試みる姿勢を取り、それがどのように役に立つかはさまざまとして、その後に、今度は自分でゼロから考えるという段階になると、すっかり感情に流される思考だけに戻ってしまう、というケ−スです。 「「取り組み実践」の３ステップ」の「３．向き合い」について説明したように、ハイブリッド心理学からの「応用の学び」の具体例がすぐ自分にうまく当てはまって動揺を脱することができるのは、まず言って実はすでに持っていた潜在力が引き出された「最初の一歩」です。それを過ぎると、まず言って同じ姿勢では超えられない壁が現われます。そこからこそが、「動揺する感情を克服したいのだから、まず感情を鵜呑みに考えない」という自明の原則から、本当に自分のものとするのかどうかを問うことからの、取り組みが始まると理解して頂ければと思います。 ハイブリッド心理学が考える心の成長変化は、そのように、「感情を鵜呑みにしない思考」という心の芯を得て、いわば「感情に流される心の世界」と、「感情に流されない心の世界」という、「２つの心の世界」を自分自身の中に持つことから、本格的に始まる変化の世界だと言えます。 繰り返しますが、「「学び」の主要テーマ」の中で「感情と行動の分離」について指摘した通り、それは決して「感情を無視して理屈だけで行動する」ことなどではないことをご理解下さい。私たちは揺れ動く感情によって自分を見失う一方で、私たちは感情によって生きるのです。感情によって生きるからこそ、感情によって自分を見失うとも言えるでしょう。それを克服しようとして感情を無視し捨てることは、生きることを捨ててしまうことでもあり、実はそれもまた感情に流された結果なのです。 つまり、「感情を鵜呑みにしない思考」という言葉で表現しているのは、「感情を無視した思考」ではなく、実は「今までの感情に流されることのない、新たな感情の芽を芯とする、新たな心を働かせ始める」というような、高度な心の働かせ方を指しているのです。 以下説明する心の成長変化の方向性とは、そうしたものとしての「感情を鵜呑みにしない思考」が、しっかりと心の足場として芽生えてから始まり、やがて異次元の心の世界へと前進していくものです。 「感情と行動の分離」の両輪が生み出す「成長」と「治癒」 まず、「感情と行動の分離」の両輪それぞれに対応するものとして、基本的な前進力が生まれます。 外面側の軸に対応する「成長」と、内面側の軸に対応する「治癒」です。 ・心の成長変化のベクトル １ 「成長」
これは、「現実世界を生きる能力の向上増大」だと位置づけられます。 これは大きく、２つの前進の側面があると理解すると良いでしょう。 1)まず、基本的な行動様式を、「破壊」から「自衛」さらに「建設」へと転換していくことが、自分の「現実世界を生きる能力」を向上増大させること、そして自分を「強く」するための方向性であることを、心底から理解納得し、それを目標にする姿勢を持つという側面です。「本心」からです。これは「「学び」の主要テーマ」の「２．行動の基本様式の転換」の部分です。 2)そしてもう一つが、それを具体的な行動法として実現していく側面です。これは「「学び」の主要テーマ」の「３．行動学」と「４．「愛」と「自尊心」のための価値観と行動法」の部分です。「現実世界を生きる能力の向上増大」と呼べるものが本当に身についてくるのも、これによってとなるでしょう。それによって、何よりもこの現実世界を生きること、この人生を生きることへの安心感、さらには自信感が、心の基盤として生まれてきます。これが、さらなる心の成長変化のベクトルを、支えるものにもなります。 この２つの側面が、多少とも交互に意識されながら、より堅固なものになっていく、と理解できるでしょう。「破壊から自衛と建設へ」という転換への意志をまず持ったとして、それはすぐに具体的で現実的なものにできるような安易なものではなく、多少の困苦を伴いながら、「行動学」の習得と自らの「価値観」への向き合いへと向かうことになるでしょう。 そして「行動学」への習熟が進むことで、「破壊から自衛と建設へ」という転換への意志は、やがてそれを妨げる最も深い壁への向き合いへと進むことになるでしょう。その先にあるのが、「「学び」の主要テーマ」の最後に示した、「６．「否定価値の放棄」の根本的選択」です。 ・心の成長変化のベクトル ２ 「治癒」
これは、心の「病み」の傾向が克服解消されていくことです。 「心の成長変化の概要図」の下の方に示したように、ハイブリッド心理学では心の「病み」の傾向を、「内面ストレス」、「自分と他人」「空想と現実」の区別の混乱などの「思考と感情の歪み」、「心の闇の感情」と呼べる、根深い自己否定感情を中心としたさまざまな悪感情という、主に３つの側面で捉えています。 そこに「自他への破壊衝動」という「荒廃」が加わることで、心の問題はより深刻化すると言えます。 また、こうした「病み」と「荒廃」という問題の有無に関わらず、「未熟」が、私たちの心の成長へのスタートラインになります。 これらの問題の解決克服は、「５つのベクトル」として次のような対応関係になります。 「病み」の基本的な解決克服は、「治癒」です。 「荒廃」は、「治癒」と「成長」の中で、同時にその大部分が克服解消されると言えます。それでも意識努力では超えられないような根深い「荒廃」の残骸までをも、完全に消え去らせる特別な心の仕組みとして、「浄化」があります。 そして「未熟」の解決克服は、「成長」を基本的前進力として、「成熟」へと向かいます。 そしてこれら全ての心の問題の克服と心の豊かさへの歩みは、さらにその包括的な最終ゴールとして、「超越」に向かう、というものになります。心の問題の根源としてある根深い自己否定感情と孤独感といった問題も、その最も根底の残骸のようなものも、ここにおいて完全なる克服消滅へと至ります。 「治癒」は、大きく３つの側面によって前進するものと考えることができます。 1)まずは「感情を鵜呑みに考えない」という最初の大原則の上に、「感情と行動の分離」の内面側の軸の「内面感情はただ流す」ことによって、内面ストレスを解消していく。 2)自分の内面を「理解する」ことによる「解きほぐし」によって、思考と感情の歪みや悪感情の解消克服への下地作りをする。 3)最終的には、外面軸側の建設的行動法への習熟によって心の安定を得る中で、過去からの余韻もしくは残響のように心に湧き起こる悪感情を「ただ流し理解する」という体験の中で、それらはもはや後戻りすることのない根本的解消へと向かう。これは「「学び」の主要テーマ」の中の「５．悪感情への対処」の部分です。 ・「成長」と「治癒」の相互依存関係
内面ストレスや思考と感情の歪みがあるままだと、「建設的行動」が、内面感情を無視したストレスによって、人の目に「前向き」に見える行動を力づくで行うことだという、誤った理解へと向かいがちです。そうではなく逆に、まさにそうした内面ストレスを捨て去ることのできる行動法として「行動学」があるのであり、まず自分自身の幸福を自分で考えることから始まるのが「建設的行動」なのです。 内面ストレスや思考と感情の歪みは、単にそれを「解きほぐす」だけではなく、内面感情の動揺に妨げられることなく、そして内面ストレスに頼らずにうまく行動できるための「行動学」の支えがあってこそ、根本的な克服解消へと向かうことができます。 ですので、「感情と行動の分離」は、外面側と内面側のどちらかだけを意識して習得しようとしても、最初の頃はなかなか効果が出ず、習得が両方ともある程度進んだ段階から、急速に「成長」と「治癒」の双方の前進力が生まれてくる、という形になることを理解しておいて頂くと良いでしょう。 取り組み実践によって、性急に「自分がどう変われる」かを期待するよりも、「感情と行動の分離」の両輪について、いかに正確な理解と実践を、いかに沢山の場面で自分が積み重ねられるかに、まずは焦点を当てて取り組んでみて頂ければと思います。 また「成長」と「治癒」、外面軸と内面軸が互いに依存するとは言っても、根本的には前者が先であることの理解が大切です。 つまり、治癒すれば成長に向かえる、内面感情が良くなれば外面行動も良くできる、のではなく、どちらもいまだ前進力を持たない段階で、治癒していなくても成長を望む気持ちが、そして内面感情が良くなっていなくても外面行動として「破壊」ではなく「建設」を望む気持ちが、ここで説明した相互依存の前進の始まりになるのです。そうして「病み」の傾向の深刻さが大きいほど内面軸が大きな役割を果たすとして、そこでも内面軸を道筋として、外面における「建設」に向かうためのものとして、心の解きほぐしも進むのです。 その後の前進においても、根本的には外面における建設的行動を望む気持ちと習熟の度合いが根底基盤となって、「成長」と「治癒」、外面軸と内面軸が相互に促し合う、具体的前進が一段一段進むと理解して頂くと良いでしょう。 これが一言で、外面側の軸が主輪、内面側の軸が補助輪と表現するものです。 「命の生涯」・「真の望みに向かう」という全ての根源 「感情と行動の分離」の両輪が生み出す「成長」と「治癒」の基本的な前進力は、「望みに向き合い向かう」という取り組み実践のもう一つの大きな軸と手を取り合うことで、本格的な前進力へと向かいます。 なぜなら、「自ら望みに向かって生きることで、心が成長する」ということにこそ、心の成長変化の全ての根本的原動力があるからです。 ハイブリッド心理学では、それを「命の生涯」と呼んでいます。これがハイブリッド心理学の根本思想とも言えるものになります。
最初の「ハイブリッド人生心理学の「取り組み実践」」で述べた、「心が健康になる、そして心が成長するという心の仕組みそのものを探求し、それを開放する」とは、これを指したものに他なりません。 つまり、「心が健康になる、そして心が成長するという心の仕組み」とは、「望みに向かって全てを尽くして生きる」ことで、心が自ずと「未熟」から「成熟」へと変化していくという、「命の生涯」です。 |
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| 2014.3.21 |