まえがき 1.はじめに・4つの話の領域 2.心の問題とその克服ゴール 3.取り組み実践 4.心の成長変化 (1) (2) (3) (4) 5.歩みの道のり (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) |
5.歩みの道のり (1)5つの「成長の段階」
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5つの「成長の段階」 私たちは、心の成長の歩みの道のりを、ゴールからスタートへと遡って見ることで、その全体が、 ・変化の流れ、と ・その変化が生まれる前提条件が揃う流れ という前後関係において、いくつかの重要な節目を持つ「成長の段階」で構成されるのを理解することができます。 つまりそれは次のようなものです。 ハイブリッド心理学が考える、心の成長の原動力となるものとして最も大きいのは、「否定価値の放棄」によって大きく開放される「望み」に向かって、全てを尽くして生きる人生の日々そのものであり、さらには、そこで「魂の望み」に出会い、向き合う時間です。これは心の成長変化の流れについて展開した前章において、「「心の業の捨て去り」と「魂の望みの感情」による心の成長の本格的前進」で説明したものです。 そこから、心の成長の歩みの道のりのゴールに至る部分の、2つの成長段階を認めることができます。 まず始まるのは、「否定価値の放棄」によって大きく開放される「望み」に向かって、それまでに培った建設的行動法が大きく開花し、特に外面的な豊かさにおいて大きく前進変化が成される段階です。これを、「変化」の段階もしくは時期と呼べるでしょう。 次に、そこでやはり不可避に出会う自己の限界や壁に際し、「魂の望み」に出会い、「魂の望み」がこの人間のさらなる内面の豊かさへの成長を導くようにもなる段階です。内面の変化は、再び外面の変化を導きもするでしょう。いずれにせよこれがゴールへと至る段階です。これを「円熟」の段階もしくは時期と呼べるでしょう。 その2つの段階が生まれるための条件は、「否定価値の放棄」が、できるだけ明瞭に成されることです。従って、「否定価値の放棄」に至るまでの、至るための、段階が必要になります。 「否定価値の放棄」をもって、この心理学の「取り組み実践」の「ひとまずの習得達成目標」は完了です。「取り組み実践」の「習得」が、大方完了したということです。 大きな心の成長変化は、主に「取り組み実践」の習得の中でよりも、「取り組み実践」の習得が完了した後に始まるということです。この大きな流れを、ぜひ心に入れておいて下さい。 そのことは「心の成長変化の概要図」でも表現していますので確認頂ければと思います。「成長」と「治癒」がある程度前進する中に「否定価値の放棄」が訪れ、引き続きの「成長」と「治癒」、さらに「浄化」「成熟」そして「超越」という心の成長の真髄部分も始まる、というものです。 一方「否定価値の放棄」に至るまでの流れも、決して一本調子の一つの段階だけがあるのではなく、かなり様相の異なる、3つの段階を認めることができます。 それは、「否定価値の放棄」に向かって順調に前進できるようになる段階と、それが全くできない段階、つまり心が「未熟」と「病み」の中に固定化されその中でもがいているような段階、そして後者から前者へと抜け出す段階、この3つです。 これを次のように呼べると思っています。前の方から、「旅立ち前」の段階もしくは時期、「旅立ち」の段階もしくは時期、「学び」の段階もしくは時期と。 「学び」とはもちろん、「取り組み実践」の学びそのものであり、「否定価値の放棄」までの学びです。学びを進めることがまだほとんどできない段階があり、学びを進めることができる状態への変化の段階があり、学びが前進力をもって進む段階がある、ということになります。 つごう、5つの段階もしくは時期があるということになります。 ここで「段階」もしくは「時期」という言葉は、あまり大きな違いがあるものではありませんが、心理学的にその人の状況を見る場合に「段階」、本人が人生の中で主観的に感じ取る場合に「時期」という言葉のニュアンスで適宜使い分けたいと思います。 次のように、5つの段階もしくは時期があるということです。それぞれに意識面の主題と言えるものを添えて、まず列記しておきましょう。 1.「旅立ち前」の段階。主題は、「未熟と病みの中に閉ざされた心」です。 2.「旅立ち」の段階。主題は、「心の依存から自立へ」です。 3.「学び」の段階。主題は、「否定価値の放棄への前進」です。 4.「変化」の段階。主題は、「建設的行動法の開花」です。 5.「円熟」の段階。主題は、「魂に導かれる歩み」です。 それぞれのポイントを簡潔に説明していきましょう。 「旅立ち前」から「学び」までの段階-1 ハイブリッド心理学の学びに取り組む時、まず何が目標になるのかは、極めて明確です。それは、「否定価値の放棄」の選択を心の視野にとらえ、その選択を成すことです。これがハイブリッド心理学の取り組み実践を始めるからには掲げたい目標です。 その目標に向かうために、ハイブリッド心理学の学びに取り組むそれぞれの人が、今何を取り組み課題として意識するのが良いのかは、外部からはかなり明確に分かります。つまり「否定価値の放棄」までの道筋はかなり明瞭であり、必要となる通り道の最初のところから見ていき、その人がまだ自分のものとすることができていないものがあれが、その最初のものが、今現在の取り組み目標の主題になるということです。 それを自分にものにできないまま、それを飛ばして先のものを課題として取り組もうしても、それはできない、ということです。家を建てることに喩えるならば、土台から支柱、そして内装外装へという順序において、前工程がしっかりできていないまま後の作業をした場合、前工程をやり直すと同時にゼロから再び進める必要がある、というように。 ・「学び」と向き合い そうしたものとして「今何が自分の課題か」を感じ取るためにも、「「取り組み実践」の3ステップ」で示した検討手順、中でも後ろ2つの、「具体的場面での学び」の正確な内容を知ること、そしてそれへの「向き合い」のステップが重要になります。 「向き合い」には、主に2つの面があります。「学び」の内容、特に「建設的な行動法と価値観」について、自分がどう理解納得できるかについての向き合い。そして具体的応用場面において、「心の健康と成長に向かい得る行動」のいくつかの選択肢に対し、どのように合う、もしくは合わない感情が自分の中にあるのかについての向き合い。後者が、より複雑な感情の意味の明瞭化や、埋もれていた感情、さらには「魂の望み」の感情への向き合いといった、この心理学の実践で「感情分析」と呼ぶ、精緻な自己分析にもつながっていきます。 そこで「建設的な行動法と価値観」への理解納得に応じた進み先を、「「向き合い」が導く3つの進み先」で次のように指摘しました。 1)理解納得ができない場合、「感情を鵜呑みにしない」といった根本に取り組み、再び「向き合い」へ。 2)理解納得ができ、それに沿った行動の選択が可能であれば、行動の前進へ。 3)理解納得ができながらも、行動の選択が不可能な場合、「治癒」「浄化」「超越」さらには「心の死と再生」といった心の奥底の仕組みについての理解を踏まえ、より深い自己の内面へと向き合う。 「成長の段階」をそれにつき合わせ見るならば、まず言えるのは、上記1)の、建設的な行動法と価値観への理解納得がほとんど、もしくはあまりできないケースが「旅立ち前」におそよ該当する、というものになります。 一方上記2)と3)の、納得理解ができた上で、行動の選択が可能であるケースと不可能であるケースというのは、単純に「成長の段階」のその後の順番に対応するのではなく、「旅立ち」の段階以降の全ての段階に渡り、交互に現われるという様相になると理解するのが良いかと思います。 つまりまず、建設的な行動法と価値観への視野が心に生まれ始めながらも、まだほとんどその方向の行動ができない状態から、その最初の行動へと第一歩を踏み出すのが、「旅立ち」の段階です。 そこから「学び」の段階は、行動可能な幅を模索することに向かうものになるでしょう。そしてそこで地道に得る「成長」を足場に「否定価値の放棄」の選択を成すことで、「取り組み実践」の外面向けおよび内面向けの実践の仕方についてはおおよそ習得が完了です。この大きな節目で、「望み」が心の底から大きく開放されます。 建設的な行動法が、大きく開花します。「変化」の段階です。そこからある程度の期間、主に外面における行動の幅の拡大と豊かさに向かう時期が訪れることが考えられます。 その先、全てが望み通りに行けば無論それに越したことはありません。でもそんなことはないでしょう。必ず外面の不運不遇や自身の限界による壁や躓きが訪れるでしょう。それを契機に、いよいよ真の心の成長と豊かさへの道が見えてくるのです。そうして私たちは「円熟」の段階へと至ることになります。 ・前進を成すための2つの心の基盤 「成長の段階」は、そのように「向き合い」と共に前進するものである一方、「向き合い」の中で前進を生む原動力もしくは心の基盤となるものは何かを、ハイブリッド心理学から2つ言うことができます。 「自分自身への論理的思考」と「心の依存から自立への転換」です。 つまりハイブリッド心理学からの「学び」の内容が「「学び」の主要テーマ」でざっと説明したようなものとしてあるとして、そうした「学び」に向き合い、前進を成すための心の基盤が、その2つだということです。
・「自分自身への論理的思考」 取り組み実践と、それによる成長の歩みを一貫として支える「感情と行動の分離」の基本姿勢は、「「学び」の主要テーマ 1.「感情と行動の分離」」でも述べた通り、「動揺する感情を克服したいのなら感情を鵜呑みに考えない」という自明の原則からスタートします。 では「感情を鵜呑みにしない思考」とは何かと言えば、まずはこの「自分自身への論理的思考」だということです。学校の試験を解くため、あるいは他人を論破するためのものである以前に、自分自身の心の健康と成長、そして人生の豊かさと幸福のために、自分にとって「本当に確かなもの」を見る目を持って、何がなぜどのようになるという論理的思考で、自分の生きるこの世界を、そして自分自身を知り、どのように行動し生きることが合理的なのかを、考える論理的思考を持つことです。 それが、「感情と行動の分離」の姿勢において、外面と内面の双方に向けるものになるのです。私たちの生きるこの世界と、私たち自身の心と人生の、「真実」に目を向けるために。 「感情を鵜呑みにしない思考」とは決して「感情を無視した思考」ではないのは、「「感情を鵜呑みに考えない」という全てのスタート」でも説明した通りです。それは「今までの感情に流されることのない、新たな感情の芽を芯とする、新たな心を働かせ始める」ということなのだ、と。 ではその「今までの感情に流されることのない新たな感情の芽」とはどんなものかを言えば、まさにこの2つの心の基盤から、芽生えるものだということです。 「自分自身への論理的思考」によって芽生える「今までの感情に流されない新たな感情」とは、そのエッセンスを言うならば、「自分にとって本当に確かなもの」を選ぶことが生み出す、内面の強さと前進の感覚、感情だと言えるでしょう。 「自分にとって本当に確かなものを選ぶ」という「選択」を人生で成すごとに、私たちは一歩「成長」するのです。そしてその「成長」が、今まではその中で流されたであろう「感情」がこれからどう湧き出るかの全体を、少しづつ変えていくのです。惑いと動揺のより少ないものへと。そして再び、そこから「自分にとって本当に確かなものを選ぶ」という新たな一歩に向かう。「成長」とは、最後までこの繰り返しです。 『取り組み実践詳説』では、この「自分にとって本当に確かなこと」の積み重ねを行う「自分自身への論理的思考」を起点として始まる「取り組み実践」の意識過程を、詳しく解説していますので、本格的な取り組みをなさろうとするのであれば、ぜひ歩みの中で継続的に熟読頂ければと思います。 主な意識過程を、ごく手短に表にまとめておきましょう。重要なのは、ここに示す順に、前の意識過程が足場となって次の意識過程が可能になる、という展開の流れであることです。 前進への基盤となる意識過程 一覧表
この表に示される展開を見ることで、次のことがお分かりかと思います。 つまり「外面行動は建設的なもののみ行い、内面感情はただ流し理解する」という「感情と行動の分離」、そしてその両輪を携え「全てを尽くして望みに向う」という、ハイブリッド心理学の取り組み実践の根幹姿勢は、「自分にとって本当に確かなものを選ぶ」という「自分自身への論理的思考」の基盤の上に、人生の生き方についての、最も基礎的な姿勢における「選択」を積み上げたものなのだと。 その「選択」とは、「現実」の見方であり、心の外面と内面の双方に目を向けることであり、自ら学ぶ姿勢を持つことであり、人生とは「望み」が叶えられる結果ではなく、「望み」に向かって全てを尽くすこと自体にあるという人生観を選択することであり、それによる実際の「成長の体験」を足場に、「成長の望み」に向き合うことなのだ、と。 「感情と行動の分離」の基本姿勢、そして「全てを尽くして望みに向う」という根幹姿勢からして、「言われた通りにしてみる」というレベルで意味のあるものではないことが、お分かりかと思います。 取り組み実践のその最初の基礎の骨組み支柱から、「自分自身への論理的思考」という原点から、積み上げをしていくものだということです。その上に血肉とし内装外装として築いていくのが、「「学び」の主要テーマ」だということです。 ・「前に進めないケース」の原因 ならば、ハイブリッド心理学からは「旅立ち前の段階」と分類される、ほとんど前に進めないままでいるケースにおいて、何がまず課題と考えられるかは、明白です。 「自分自身への論理的思考」です。人生で、自分にとって本当に確かなものを、自分自身で考え判断し、自らそれに向かうという、全ての前進のための一番最初の基礎が、できていないのです。 一方メール相談など実際の場面においては、ほとんど前に進めないままでいる原因として、ただ「自分自身への論理的思考」ができていないというよりも、自ら積極的に心の健康と成長とは逆に向き、心の健康と成長を自らブロックするような姿勢と思考が見られるのが大抵です。 そうした「前に進めないケース」の特徴を、ざっと列記したのが下の表です。特徴をまず簡潔に描写し、加えてそれを一言で呼び表す分類の言葉と、基本的対処を、キーワードとして記しておきましょう。 「前に進めないケース」の特徴 一覧表
・歩みの始まり それらをざっと眺めるならば、そこで起きているのは、先に述べた、「自分自身への論理的思考」の基盤の上に、人生の生き方の最も基礎的な姿勢の「選択」を積み上げていくというのとは、まさに逆のことであるのがお分かりかと思います。 つまりそれは、基本的に感情で決めつける思考の中で、人生の生き方の最も基礎的な姿勢において、対照的なものへと流れてしまっているのです。「自分自身にとって本当に確かなこと」を積み上げるのではなく「人に言われたこと」を自分の中に取り込み、「人の目」にとってそうらしいことを目印にし、揺れ動く感情が映し出す「空想」を「現実」だと思い込み惑い、全てを尽くして自らの「望み」に向かうのではなく、「人の目」と「空想」に映し出された「善悪」「評価」で自分を縛って生きる、という生き方へと。 そうして「人生」という大海原に出ようとする「自分」という船を、自分自身で舵取りできないまま潮の流れに流され、やがて流れ着くのが、自らが抱いた理想に満たないものを責め叩くことに価値を感じる衝動へと、自らがその権化となるかのように自らを責め叩いて生きるという、「否定価値」とこの心理学が呼ぶ閉ざされた海域なのです。 それが、私たちがこの現代社会に生まれてまず身につける、「生き方」なのです。 私たちの歩みが、そこから始まります。 私たちがまず成すべきことは明確です。「自分」という船の舵をしっかりと自分自身の手に取り戻し、「否定価値」とこの心理学が呼ぶ、その閉ざされた海域を抜け出すのです。その時こそ本当に、私たちの前に、「人生」という広大な海原が広がります。 「否定価値の放棄」までの「「学び」の主要テーマ」の内容が、そのための海図としてある、ということになるでしょう。 そころがそこでしばしば、おかしなことが起き始めます。そうした「新しい生き方」のための「学び」が再び、今までと何ら変わりのない、「人の言うこと」を自分の中に取り込む姿勢で受け取られ、「そうできなければ駄目なのですね」と、「善悪」「評価」として自分を縛り責めるためのものとして抱かれるのです。あるいは、ハイブリッド心理学を読んで感銘を受け、自分は変われたと頭では考えながら、「人の目」を前にすると、再び思考と感情の全てが今までと同じものに戻ってしまう。そしてハイブリッド心理学の言う通りにできない自分は駄目だと、自分を責める。 そこで何が起きているのかは、「自分」という船の舵を自分自身で取って進むという今述べた喩えで、引き続き分かりやすいと思います。実はそもそも、「自分」という船の舵を自分自身でしっかりと握り、自分で舵を回して進路を変えるということが本当にどういうことなのかが、分かっていないのです。全てが「そうするつもり」「そうしているつもり」という、浅い建前思考の中で。そうして「自分」という船の舵をしっかりと握っていないまま、上の空に手を回し、風が偶然吹いて船が少し動いたら、自分は変われたと考える。それが海図に示されるような、大きな距離の移動だと錯覚したまま。実際は海図のレベルにおいては全く同じ場所で。 まあこれはちょっと辛らつな喩え表現かも知れませんが、何が必要なのかの理解には役立つでしょう。「自分」という船の舵を自分自身でしっかりと握り、自分で舵を回して進路を変えるということが本当にどういうことなのかということそのものを、まずしっかりと体得しなければならないということです。 『取り組み実践詳説』で詳しく解説し、上の「前進への基盤となる意識過程 一覧表」にまとめたような意識過程が、そのための、「自分」という船の操縦説明書に該当すると言えるでしょう。「前に進めないケースの特徴 一覧表」の方は、「ありがちな誤り べからず集」だというわけです。 ・「最初の一歩」から「自らによる成長の歩み」へ それを踏まえて、「取り組み実践」の歩みの流れを再び説明しましょう。 それはまずは2つの段階になると理解頂くと良いでしょう。「最初の一歩」と「自らによる成長の歩み」です。 「最初の一歩」は、読んで感銘を受けて、もしくはメール相談や「読者広場」掲示板でのアドバイスを受けて、変われた部分です。 つまりそこでは、「「取り組み実践」の3ステップ」で示した検討手順での2つ目の「学び」が、ハイブリッド心理学から、もしくは島野から提示され、それに感銘もしくは納得理解を感じて、そのまま、その通りにできる等の変化が得られるものです。3つ目の「向き合い」についてはあまり手間をかけることなく。これが「最初の一歩」です。 それに対して、「自らによる成長の歩み」は、「今の自分に必要な学びはこれか」と、「学び」の内容を自分自身で「設定」し、それについて自身ではどう考えるかと「自分の考えを問う」ことから行うという形のものです。つまり「学び」の提示から、それへの納得理解を問う「向き合い」、そしてそれを踏まえての自分の方向性選択という一連のステップを、全て自己独力で行うものです。もちろん「自分で設定した学び」の確かさやそこにおける詳細ポイントの確認のためにアドバイスを受けることも、ここでも大いに有用なものとして。これが「自らによる成長の歩み」です。 誰でも、まずは読んだりアドバイスを受けたりしての感銘で変化できる部分があるでしょう。その範囲にはかなりの個人差があるとして。しかしいずれそれだけでは前に進めなくなります。やはり自分は・・と同じ問題で動揺に戻ったり、あるいは多少違う問題に出会ったりと。 その時はもう、進め方を「自らによる成長の歩み」の形へと変えるべきです。 理由が2つあります。その進め方をしないと、まず言って人生の長さと出会う問題の幅広さに対して、追いつけなくなるからです。それはまるで、教室で先生に当てられた問題だけ勉強して、他は全く勉強しないというかのように。 もう一つはさらに本質的なことです。その進め方をしないと、自分の生き方を本当に変えるという「選択」の強さと深さを、欠くのです。それがもらたす結果は、今「自分という船の操縦」で喩えた通りです。自分は海図の通りに進んでいるつもりと考えながら、実際は同じ場所をぐるぐる回っているだけと・・。 なぜそうなるのか。お分かりかと思います。根底において「人に言われた通りに」という姿勢のままだからです。風に吹かれてちょっと移動したのを、何かの方向への前進だと勘違いして、やがて元のままであるのが分かるという姿・・。 それを、「まず自分の考えを問う」という姿勢および進め方進み方へと、切り替えるのです。 加えて言えば、「最初の一歩」の段階で変化できる部分というのは、実はその人の人生において、その変化を成す力がすでに準備されていたものが、ハイブリッド心理学の最初の学びによって引き出されたものだと、ハイブリッド心理学では考えています。 それに対し、「自らによる成長の歩み」は、新たな変化への、新たな力の準備から行うものなのだと。 この点で、本当に「取り組み実践」と呼んでいるものは、これを指します。この点で、メール相談や相談投稿アドバイスは、「取り組み実践」ではありません。そこでのアドバイスを材料として活用するとして、「学びの設定」から自己独力で行うものが、本当の「取り組み実践」です。 ハイブリッド心理学では、この自己独力での「取り組み実践」こそを、心の成長への実践として重視しています。島野自身の活動としても、まず学びの整理の執筆を優先し、カウンセリングルームやセミナーを設けてはいないのは、そのように自己独力取り組みを重視していからであり、かつ真の心の成長のための実践は、日常生活と人生の実際の場で行う以外においてはないと考えているからです。 |
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2014.6.13 |