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ハイブリッド人生心理学 メール相談事例集 はじめに・「取り組み実践」とメール相談
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島野のメール相談活動
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No.002 視線恐怖および「職場での自分の位置への不安」の克服
カテゴリー: 仕事場面の行動法とスキル向上  心の障害傾向の克服
相談期間: 2010年10月(約1か月間)
概略  ご相談内容  アプローチの考え方  アドバイス内容

概略
ご自身心の状態「安全でない」という象徴的言葉で伝えてこられた事例です。
問題状況2つ職場では仕事をうまく進められず、針の筵(むしろ)のような状態道路を歩いている場面では、他人自分への軽蔑の当てつけのように、わざとらしく寄ってくると感じる状態
このように、課題テーマとしては「仕事のスキル向上」「視線恐怖症傾向」克服という、心の治癒成長取り組み代表的2テーマになりますが、およそ1か月間という短い取り組みで、180度風向きが変わると言えるような、目覚しい好転変化見られたものです。

ご相談内容(抜粋編集)
40代前半、男性。現在の心の状態「安全でない」と感じていて、かつ、具体的にどうして良いかが分からず、とにかく逃げ出したい気分です。
休日何もする気が起きず、ひたすら動かず家に引きこもっている。何とかしなければならないという焦りと同時に、全く何もしたくない気持ちの中で常に不機嫌
こういう精神状態だから何も上手くいかないのか、実生活上手くいっていないから精神状態悪いのか分かりませんが、いろいろ悩みの種があります。

一つは仕事場で味わう自分の情けなさ今の仕事1年半になるが、分からないことだらけで、しかも分かるためにどこから手を付けたらいいのかも分からず焦るばかり。
会社での教育もあまりなく職場任せで、かつ職場ではほとんど放置状態で、何も分からないままとりあえず作業するものの、失敗が多く、お客さんからの信用もなく、仕事場
針の筵(むしろ)の気分。実は今まで転職繰り返したものの、似たような状況が続いている。

仕事以外では、人々から受ける軽蔑した態度がとても気になる。たとえば混んでいない歩道真っ直ぐ端に寄って歩いていると、前から来た人わざわざ斜めに歩いてきて私の前立ちふさがるというのが目立つ被害妄想と思われるかもしれませんが、単にそう感じたというのではなく、実際に、他に十分スペースがあるのに端を歩いている私の方へ向かって来るのを、何度目の当たりにする。そして私が避けない直前方向転換して通り過ぎる。あまりにもわざとらし過ぎる。

このように、仕事場でもそれ以外の場所でも辛くどうしようもありません。どこから手をつけて良いかも分からず途方にくれています。


アプローチの考え方
この2つ課題テーマについて、ハイブリッド心理学からは定式的指針をそれぞれ言えます。
つまりアプローチは、この課題テーマについては、ご相談内容多少の違いに関わりなく、まずこれになるということです。

「仕事のスキル向上」については、仕事で重要なのは「やる気」「協調性」などと言った、ノウハウを欠いた精神論姿勢論しか持たないまま能力向上できないというのがほとんどです。まずはとにかく仕事のスキル向上ノウハウを伝え、実践してみて頂きます。
仕事のスキル向上ノウハウには、社会行動場面一般的に役立つ「原理原則行動法」と、仕事の内容に多少とも踏み込んだ実務能力向上ノウハウなどがあります。これらは一度深く習得すると極めて幅広く応用が可能になりますので、「自尊心」そして「社会を生きる自信」築くために、誰もがぜひ習得して頂きたいものです。

「視線恐怖症傾向」克服については、「人が自分に特別な視線を向けてくる」というその過敏な念慮について、心の取り組み現場でしばしば言われるであろう「人はそれほど貴方のことを気にかけていないはず。気にしないように」というアドバイスとはむしろに、それがただの妄想かそれとも事実なのかの、自らの「客観的判断の正確さ」をとことん極めるのが良い、というのがハイブリッド心理学からの指針になります。
それにより、「他人から自分への特別な視線」ただの妄想だったのか、それとも客観的な事実として起きた出来事なのかの、ひとまずの結論を出すことです。メール相談においては、私からも同意できる結論であることが目安になるでしょう。
そうしてただの妄想だという結論向かうならば、視線恐怖症傾向自ず消えていく方向向かうか、それでも拭い去れない恐怖感については、外部の出来事ではなく自分自身の中何を恐れているのかといった、より内面的な自己分析取り組みアプローチになってきます。
一方から自分への特別な視線客観的な事実らしい場合起きている内容についてより精緻な状況分析によって現実的な行動対処などを検討する取り組み移行させる必要があります。
いずれにせよそうして、「客観的判断の正確さ」をある程度築くことができたら、「視線恐怖症的傾向」も消えるか、もしくは取り組みテーマがより深い別の問題に移行していく、というものになります。

メール相談では、そうしたアプローチ功を奏するケース奏さないケース分かれてきます。
功を奏するケースとは、意識仕事のスキル向上ノウハウ習得へと切り替え、それを役に立てることができ、仕事場面動揺克服向かう。あるいは、「客観的判断の正確さ」への取り組みによって、視線恐怖症傾向消える、もしくはより深い別の問題焦点移っていくというものです。
功を奏さないケースはそので、意識仕事のスキル向上ノウハウ実践へと切り替えることがあまりできないまま、動揺続く「人の視線」という動揺テーマままでいる、というものです。
功を奏さないケース場合、その直接的な原因としては、仕事場面動揺問題では、ありのままの自分で受け入れ向上に向かうという姿勢が取れず、人にどう見られどう扱われるかに心が奪われている、視線恐怖症傾向問題では、空想と客観的事実の区別ができていないといった問題が見られます。これは心の問題としてそれだけ根深く、さらに深掘りして取り組むのはメール相談では次第に難しくなってくるのが実情です。本人がいかに自ら心の足場あり方取り組む意欲持てるかどうかになってくると言えるでしょう。

印象的なのは、ご相談者最初の様子印象からは、この定式的なアプローチ功を奏する奏さないかの予測がかなり難しかったことです。というか、ご相談者最初の様子印象から自然に抱いた予想感というものが、裏切られることが多かった、という事実です。たとえば知的論理的印象ご相談者様子に、これならばこのアプローチ解決向上比較的容易向かうことができるのでは、あるいは、自分自信を失い途方にくれているらしい様子に、これは少し難しいかも知れない、といった予想感が、実際メール相談を進めてみると、それぞれが逆になったことが少なくないというように。
しかし実はこれは、今振り返るならば、前者自身決めつけ思考に固執する傾向を、後者何でも吸収できる潜在性を、表していたのかも知れない、とも考えられます。ただしこれももちろん、そうした規則性があるなどと言えるほどのものでもありません。

いずれにせよこのNo.002さん事例は、仕事場面うまく行かない様子人生で結構長そう、かつ仕事場面以外でも視線恐怖症傾向問題広くメール相談としても難しい部類になってくるのではといった印象を、当初感じたかも知れません。
しかし実際メール相談を進めてみると、上述定式的アプローチ最も功を奏した事例一つになったものです。

アドバイス内容
1回目アドバイス: 「仕事場面」と「道を歩く場面」の問題へのアプローチ概要 2010.10.6(水)
  特別補足解説:「現実を見る目」の真髄とは
2回目アドバイス: 「仕事のスキルの基本」と「人の空間認知の理解」 2010.10.16(土)
3回目アドバイス: 「成長の過程」「信頼回復行動のための状況見定め」 2010.10.23(土)
4回目アドバイス: 仕事のスキルへの妨害心理要素対処と実践ノウハウ 2010.10.30(土)
  特別補足解説:心の細かい掛け違いの解消が大きな心の快調を生む
5回目アドバイス: 「仕事ノート」・長い取り組みのための基本視点 2010.11.9(火)
最終アドバイス: 「生み出す価値」に着目した行動へ 2010.11.9(火)
  特別補足解説:「価値観」の変遷に向かう


2015.5.25

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