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はじめに・「取り組み実践」とメール相談 掲載方法について 島野のメール相談活動 代表的事例 テーマ別事例 |
No.002 視線恐怖および「職場での自分の位置への不安」の克服 |
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カテゴリー: 仕事場面の行動法とスキル向上 心の障害傾向の克服 |
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相談期間: 2010年10月(約1か月間) | ||
概略 ご相談内容 アプローチの考え方 アドバイス内容 概略 ご自身の心の状態を「安全でない」という象徴的な言葉で伝えてこられた事例です。 問題状況は2つ。職場では仕事をうまく進められず、針の筵(むしろ)のような状態。道路を歩いている場面では、他人が自分への軽蔑の当てつけのように、わざとらしく寄ってくると感じる状態。 このように、課題テーマとしては「仕事のスキル向上」と「視線恐怖症傾向」の克服という、心の治癒成長取り組みの代表的2テーマになりますが、およそ1か月間という短い取り組みで、180度風向きが変わると言えるような、目覚しい好転変化が見られたものです。 ご相談内容(抜粋編集)
アプローチの考え方 この2つの課題テーマについて、ハイブリッド心理学からは定式的な指針をそれぞれ言えます。 つまりアプローチは、この課題テーマについては、ご相談内容の多少の違いに関わりなく、まずこれになるということです。 「仕事のスキル向上」については、仕事で重要なのは「やる気」「協調性」などと言った、ノウハウを欠いた精神論姿勢論しか持たないまま能力向上できないというのがほとんどです。まずはとにかく、仕事のスキル向上のノウハウを伝え、実践してみて頂きます。 仕事のスキル向上のノウハウには、社会行動場面で一般的に役立つ「原理原則行動法」と、仕事の内容に多少とも踏み込んだ、実務能力向上のノウハウなどがあります。これらは一度深く習得すると極めて幅広く応用が可能になりますので、「自尊心」そして「社会を生きる自信」を築くために、誰もがぜひ習得して頂きたいものです。 「視線恐怖症傾向」の克服については、「人が自分に特別な視線を向けてくる」というその過敏な念慮について、心の取り組み現場でしばしば言われるであろう「人はそれほど貴方のことを気にかけていないはず。気にしないように」というアドバイスとはむしろ逆に、それがただの妄想かそれとも事実なのかの、自らの「客観的判断の正確さ」をとことん極めるのが良い、というのがハイブリッド心理学からの指針になります。 それにより、「他人から自分への特別な視線」がただの妄想だったのか、それとも客観的な事実として起きた出来事なのかの、ひとまずの結論を出すことです。メール相談においては、私からも同意できる結論であることが目安になるでしょう。 そうしてただの妄想だという結論に向かうならば、視線恐怖症傾向も自ずと消えていく方向に向かうか、それでも拭い去れない恐怖感については、外部の出来事ではなく自分自身の中の何を恐れているのかといった、より内面的な自己分析が取り組みアプローチになってきます。 一方人から自分への特別な視線が客観的な事実らしい場合、起きている内容についてより精緻な状況分析によって現実的な行動対処などを検討する取り組みに移行させる必要があります。 いずれにせよそうして、「客観的判断の正確さ」をある程度築くことができたら、「視線恐怖症的傾向」も消えるか、もしくは取り組みテーマがより深い別の問題に移行していく、というものになります。 メール相談では、そうしたアプローチが功を奏するケースと奏さないケースに分かれてきます。 功を奏するケースとは、意識を仕事のスキル向上ノウハウの習得へと切り替え、それを役に立てることができ、仕事場面の動揺が克服に向かう。あるいは、「客観的判断の正確さ」への取り組みによって、視線恐怖症傾向が消える、もしくはより深い別の問題に焦点が移っていくというものです。 功を奏さないケースはその逆で、意識を仕事のスキル向上ノウハウの実践へと切り替えることがあまりできないまま、動揺が続く。「人の視線」という動揺テーマのままでいる、というものです。 功を奏さないケースの場合、その直接的な原因としては、仕事場面の動揺の問題では、ありのままの自分で受け入れ向上に向かうという姿勢が取れず、人にどう見られどう扱われるかに心が奪われている、視線恐怖症傾向の問題では、空想と客観的事実の区別ができていないといった問題が見られます。これは心の問題としてそれだけ根深く、さらに深掘りして取り組むのはメール相談では次第に難しくなってくるのが実情です。本人がいかに自らの心の足場のあり方に取り組む意欲を持てるかどうかになってくると言えるでしょう。 印象的なのは、ご相談者の最初の様子印象からは、この定式的なアプローチが功を奏するか奏さないかの予測がかなり難しかったことです。というか、ご相談者の最初の様子印象から私が自然に抱いた予想感というものが、裏切られることが多かった、という事実です。たとえば知的で論理的な印象のご相談者の様子に、これならばこのアプローチで解決向上に比較的容易に向かうことができるのでは、あるいは、自分に自信を失い途方にくれているらしい様子に、これは少し難しいかも知れない、といった予想感が、実際にメール相談を進めてみると、それぞれが逆になったことが少なくないというように。 しかし実はこれは、今振り返るならば、前者は自身の決めつけ思考に固執する傾向を、後者は何でも吸収できる潜在性を、表していたのかも知れない、とも考えられます。ただしこれももちろん、そうした規則性があるなどと言えるほどのものでもありません。 いずれにせよこのNo.002さん事例は、仕事場面でうまく行かない様子が人生で結構長そう、かつ仕事場面以外でも視線恐怖症傾向と問題が広く、メール相談としても難しい部類になってくるのではといった印象を、私は当初感じたかも知れません。 しかし実際にメール相談を進めてみると、上述の定式的アプローチが最も功を奏した事例の一つになったものです。 アドバイス内容 1回目アドバイス: 「仕事場面」と「道を歩く場面」の問題へのアプローチ概要 2010.10.6(水) 特別補足解説:「現実を見る目」の真髄とは 2回目アドバイス: 「仕事のスキルの基本」と「人の空間認知の理解」 2010.10.16(土) 3回目アドバイス: 「成長の過程」「信頼回復行動のための状況見定め」 2010.10.23(土) 4回目アドバイス: 仕事のスキルへの妨害心理要素対処と実践ノウハウ 2010.10.30(土) 特別補足解説:心の細かい掛け違いの解消が大きな心の快調を生む 5回目アドバイス: 「仕事ノート」・長い取り組みのための基本視点 2010.11.9(火) 最終アドバイス: 「生み出す価値」に着目した行動へ 2010.11.9(火) 特別補足解説:「価値観」の変遷に向かう 2015.5.25 |