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はじめに・「取り組み実践」とメール相談 掲載方法について 島野のメール相談活動 代表的事例 テーマ別事例 |
No.002 視線恐怖および「職場での自分の位置への不安」の克服 アドバイス内容(6) | |||
1回目アドバイス: 「仕事場面」と「道を歩く場面」の問題へのアプローチ概要 2010.10.6(水) 2回目アドバイス: 「仕事のスキルの基本」と「人の空間認知の理解」 2010.10.16(土) 3回目アドバイス: 「成長の過程」「信頼回復行動のための状況見定め」 2010.10.23(土) 4回目アドバイス: 仕事のスキルへの妨害心理要素対処と実践ノウハウ 2010.10.30(土) 5回目アドバイス: 「仕事ノート」・長い取り組みへの視点 2010.11.9(火) 最終アドバイス 2010.11.9(火) 特別補足解説:「価値観」の変遷に向かう
特別補足解説:「価値観」の変遷に向かう さて、問題テーマは「道を歩く場面での視線恐怖」から「街で嫌な感じの人に出会った時の苦しみ」といったものに移り、ここでは、 ・苦しみが起きるメカニズム:怒り衝動と恐怖の衝突 ・行動法姿勢(基本行動様式)の根本選択と「行動学」 ・「嫌な人間」はいなくなった島野の例 ・「生み出す価値」に着目する行動法アプローチ ・当面の対処:「自衛の問題」として考える といったものを述べています。 話としては少し断片的であり、それでどう問題の克服に向かえるのかはちょっとピンと来ないかも知れませんが、それでも、はるか先に続く道への歩みがあり得ることを感じては頂けたかと思います。 メール相談としてはそこまでになりましたが、もし本当にその長い道のりに向かおうとするならば何がポイントになるか、3つほどここで補足しておきましょう。 一つは、自らの「価値観」に向かい合う真剣さと正確さです。何か悩んだ場面で、そこから抜け出すために意識してみるといったものを大きく超えて、人生における選択として、自分が何を選んでいるのかに向き合うことです。 もし時と場面によって行動の姿勢とあり方が変わってしまうようなら、そもそも自分はまだ何かの「価値観」を選んでなどおらず、それを飾りのように心の表面で回したとして、結局その時その時の気分と感情に流されているだけの段階であることをはっきり自覚することが、最初の一歩として役に立つでしょう。そこから、まずは頭で「価値観」の種類を知り、次に実際の場面で自分の心が、さらには体がどう動いてしまうかを照らし合わせて把握していく、といった地道で着実な取り組みに向かうのです。 もう一つのポイントは、そうして「価値観」に取り組み、自らが本当に選択している「価値観」が変化していくとは、一時的な思考でどうこうなるものではなく、人生の歩みとしてのものになる、ということです。 人生の歩みとしてであるとは、「破壊と自衛と建設」という基本行動様式の価値観で言えば、私たちは必ず、「破壊」の価値観で人生を生き始めるのです。幼い子供が、気に食わない場面で怒っている自分を親に見せるといった、ごく原始的な心の仕組みから始まるものとしてです。 それが「建設」の価値観に変化するとは、「与えられる側」から「自ら生み出し与える側」に変化するという、「命」にプログラムされた変遷としてだ、というのがハイブリッド心理学の考えです。それは大自然を生きる一匹の獣で言えば、自分の力で生きる知恵と能力を得て、やがて次の命を育む側に回るという、存在のあり方の変遷としての行動の変化のことであるのと全く同じように、私たち人間においては、「社会」という名の大自然を生きるための能力を獲得し、それを次の人たちのために役立てる側に回るという、存在のあり方の変遷としての、思考と行動の変化なのだ、と。 それが、「価値観」の変化というものなのです。 「価値観」への取り組みは、そのようなものとして、「社会を生きる自信の獲得」という大きな道標に向かっての長い歩みとして、ハイブリッド心理学において位置づけられます。 その総仕上げになるのが、「学び」の説明において「実践の学び」の6項目の最後に位置づけた「否定価値の放棄」の根本的選択であり、これが心の最も深いところにおいて「破壊の価値観」を完全に捨て去るのに他ならないものになります。 それによって、「自分から不幸になる」という私たち人間の「心の業」が捨て去られると同時に、心の豊かさへの歩みの原動力となる「望み」が大きく開放される。これがハイブリッド心理学の、いわば中核思想と言えるものです。 そうして向かう心の豊かさを、私はよく「未知の異次元の世界」などという言葉で表現していますが、そこに向かうための、最も基本となる姿勢、そして皮切りになるであろう姿勢を、No.002さんへのこの最終アドバイスでも触れていますので指摘しておきましょう。 これが3つ目のポイントです。 それは、「生み出す価値」に着目した行動へ、というものです。それがNo.002さんの今回のメール相談でテーマにした「成長」から、私の例として述べたような心の別世界へと、つながるポイントになるものだ、と。 人との関係の中で、その良し悪しや出来具合を検討するものとして取り上げるのを、「自分」ではなく、「生み出す価値」にするのだ、と。 こうして、No.001さんのメール相談を、「現実において生み出す」という根本指針のアドバイスで終えたのとほぼ同じ締めを、No.002さんのメール相談でも行ったことになります。ここではそこにさらに、「自分」というものを取り上げるのではなく、という視点を加えています。 そうして、人との関係で「“自分”ではなく、自分が生み出し得る“価値”」を取り上げるという行動姿勢の先にあるもの、もしくはその行動姿勢によって支えられるものとして、未知の異次元の心の豊かさへと私たちを導く、「もう一つの心の世界」があります。 それは「自意識」が薄れた、「魂の世界」です。 それがどのように私たちの「心」を導くのか。そのフルバージョンとも言えるものは、『日記ブログ』などを通して、私自身の人生の歩みの事例として紹介していきたいと思っています。 この『メール相談事例集』では、「魂の世界」とはどのようなものか、その実際の様子のさわりとも言えるものを知っていただけけるであろう事例を、2つほどこの「代表的事例」の中で紹介したいと思います。 2015.5.25 |