■ 心の表と裏のメカニズム-8 / しまの |
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No.1117 2006/10/31(Tue) 12:43:19
「変えられないもの」と「変えられるもの」が何なのかを、まずじっくりと理解する。 それができたら「選択」を問う。まず、これから「自分の人生を生きる」のか、それとも「人が..」の世界に生き続けるのか。 前者を選ぶのであれば、それに応じた生き方に、自分を導く必要があります。「自滅的な感情に耽る」のか、それとも「知性と意志で自分を導いていく」のか。自分が何によって前に進むのかを選択する必要があります。
知性と意志で導いていくことを選ぶのであれば、どのような方向に導くかという、明確な目標が必要です。 幾つかの視点がありますが、なるべく話がつながるように説明していきましょう。
■自己再生への方向づけ取り組み:ステップ3選択を問う-2
3)「建設的な生き方があって心の成長と幸福がある」という人生観
自らを導く目標として、「建設的に生きる」ということを掲げることができます。 ハイブリッドが考える、心の成長と幸福への方法は、極めて単純です。建設的に生きることができれば、必ず、心が成長し、内面外面ともに豊かになり、幸福になれます。 これは「保証できます」と言えるほど、確実なことです。
一方、ハイブリッドに長く取り組みながらも治癒成長変化をなかなか感じられない方の原因も、はっきりして来ています。 典型的かつ根本的誤りは、「建設的に生きる過程」を経ることなく、「心が良くなる」ことを求めていることです。 そして「心が良くならない」ことに苛立ち、その怒りを自他にぶちまける。 これではもう完全に、何も変わりません。
ハイブリッドが教えようとしているものは、「障害感情がある中で建設的に生きる」ための細かい学習ということになります。だから「感情と行動の分離」に始まり、行動学があり、感情メカニズム論があり感情分析がある。 それを学べば「心が良くなる」というものではありません。それはあくまで「心が良くならないまま建設的に生きる」方法をまず伝えるものであり、あとは実際にそうして建設的に生きる過程が、心の実際の治癒成長をもたらします。
「心が良くなる」ことを求めるのは、誤りです。 「心が良くなる」ことを求めないまま建設的に生きることが、心を根底から良くする治癒成長を生みます。
そのことを理解すると同時に、「正しければ世界が自分を幸せにしてくれる」という人生観ではなく、「幸福を自ら建設する」という人生観に変えるという「選択」を、ここで問うのがいいでしょう。 多分これも、日常思考の中で、自分では気づかないままそうした思考法をすることが良くあると思います。例えば、人から誘われないと傷つき、「何で自分は誘われないんだ」といった思考法。そうした受身姿勢を、人は「あの人はどうも気が乗らないようだ」と配慮して、誘わない結果に大抵なります。 また何か「良いことをした」と思うと、何か幸福なことが起きるというような、非科学的思考法。
つまりこの人生観の選択とは、心理学的幸福主義の人生観の選択ということです。 3つの車軸「善悪の解体」「自らによる幸福の追究」「科学的世界観」のうち後ろ2つですね。 自分の思考の100%をそれに徹しようとする人は、実際のところ今の日本人にはあまりいないと思います。しかしハイブリッドの「選択」は、そのレベルの徹底を求めるものです。
「人が..」の世界に生き続けるのではなく、「自分の人生を生きる」を選択したのであれば、そうした「選択」を問うことのできる時期がいずれ来るでしょう。 もちろん、そうした「100%の徹底」といったイメージに何かストレスを感じる場合、それはまだ「感情の強制」という「変えられるもの」がつかめていない段階です。無理せず、自分に優しく、自分に味方をする姿勢の習得からじっくり進めてもらえれば。
■「変えられないもの」と「変えられるもの」の把握と「選択」を何度でも繰り返す
「選択を問う」の中身を全て書いてからにしようかとも考えた話ですが、ここで書いておきましょう。
こうして説明してきたステップ1・ステップ2・ステップ3を何度でも繰り返すという形になります。 その7で「第1ステップはまあ一日の中で」「第2ステップは数日間といった生活時間の中で」と書きましたが、その後にステップ3が来て終わりではなく、このセットを何回、何十回、何百回となく繰り返すのが、ハイブリッドの取り組み過程だと言えます。 そして実際何百回という話になった時は(^^;)、もう別人のように成長した自分の姿を見る時だと思います。
それだけまあ、「変えられないもの」と「変えられるもの」の履き違えの轍への対処をしっかりとした上で「選択」を成すというのが基本ということであり、その繰り返しの中で成長し、「選択」がより高度な領域に向かうと言えます。
「変えられないものを受け入れる平静と、変えられるものを変える勇気と、それを見分ける知恵を」という良く言われる言葉がありますが、その具体形の一つがハイブリッドだということになります。
■「選択」を成しえない絶望が治癒になり得る
そうして、自らの心の成長を願うのであれば自らに「選択」を問うのですが、その時、「選択」を成しえない自分の心を見る可能性があります。 それは一種の絶望的感覚を流すことになるかも知れません。
しかし実はそれが感情の膿の一つの表現であり、それをただ流すだけで、破壊的行動をとどまり実存を守ることが、治癒の時間になります。 つまり、選択を成しえない自分の心を知ることが、実は今向かおうとしている「再生」が既に始まっている時間なのだという、逆説的事態がここにあります。
実際、ステップ1から3という段階を定義して向かおうとしている「再生」の本質が、そこにあります。 「再生」であるからには、「今の自己の死」と「新しい自己の再生」という2面が必ずあります。 ステップ1から3を繰り返す中で、常にこれが起きつづけます。そして「再生」そのものがより高度な領域に向かうということです。
ハイブリッドが定義するのは、それに向かう姿勢です。 それを経ることなく「心が良くなる」魔法ではないのです。 |
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