1.はじめに
「島野ハイブリッド心理療法」は、島野隆の理論による心理療法です。
人格障害も含めた、全ての心理障害の治癒のため、また特定症状のない方においても、心をより健全なものにして人生をより強く楽しく生きるための方法として、ご参考頂きたいと思います。
背景
まず精神科医でもなく心理療法士でもない私が、なぜ「新しい心理療法」などを提唱するのかの背景を説明します。
ひとことで言えば、私自身が大きな治癒体験を持ったものの、それを十分説明する既存の心理療法理論がなかったからです。
この辺の事情についてはIntroductionに詳しい説明を載せてあります。
何よりも重要なのは、単なる「気分の改善」と根本的な「人格の成長変化」は異なる、ということです。
現在の心理医療は、投薬にしても共感型カウンセリングにしても、その場での気分改善だけを見て、根本的な人格変化というものを見る目を失っている、いや否定しているようにも思われます。
この人格成長変化を重視した時、新しい心理学と、それに沿った新しい心理療法の理論を形作ることができます。
この新しい心理学、つまり心理構造の理論は「島野の心理構造理論」にまとめてあります。
そして新しい心理療法として提案するのが、ここから説明するハイブリッド心理療法です。
私には現在このような「療法の提唱」をするための何の権威もありませんし、今後も自分に権威を持たせるための資格取得などをする考えもありません。
このため、このような主張が果たして認知され得るものかどうかは、ご覧になる一人一人の方の判断にお任せしたいと思っています。
インターネットの発展がなければ、こんな考えが世に出ることもなかったでしょう。
私自身が心理障害に悩んでいた時、私が欲しかった心理療法とは、とにかく理論がしっかりしたものでした。
自分の感情は十分に自分で把握できている。
人のせいではなく自分の内面の問題として取り組む意志は十分にある。
心理学的な勉強の意欲も十分にある。
悩みを聞いてもらい「暖かく共感」してもらっても、歪んだ人格が治るわけではない。この病の原因と治療法の本当に正確な知識が欲しい。
正確な医学知識のようなものさえあれば、何が何でも「自己治療」する!それしか生きる道はない!そんな気持ちでいました。
大学院までそのように勉強と自分の内面への取り組みをして、それに近いものとして見出すことができたのは、カレン・ホーナイの精神分析と認知療法の2つでした。
大学院在学中までに危機的状況を脱し、研究者でなく社会人の道を選びました。
そして社会人生活を「心の研究の実践の場」として、研究のためではなく、自分の心のためだけに、引き続きこの2つの療法から学んだ実践を続けました。
その結果、2002年4月に、非常に明瞭な「ゼロ線の通過」体験のようなものがあり、全く別人のような新たな人生がスタートしたような気持ちの中で、再び自分が学んだことを整理し、自分の心の中で起きたことを理論的に分析した時、このサイトで説明するような独自な理論がはっきりと見えてきたという経緯です。
概要
以降にて説明を展開致しますが、「ハイブリッド」の名を付けた、2つの理由を説明しておきたいと思います。
まず、心理療法としてはカレン・ホーナイ精神分析と認知療法の2つを主に基盤にしていること。
この2つを単に両方行うということではなく、それぞれの良い点を有機的にむすび合わせた、新しい一つの治療過程を考えているのが特徴です。
「ハイブリッド」と呼ぶ2つめの理由が、この療法の重要な特徴に関するものです。
「理性的思考」と「無意識も含む感情」を分けてアプローチするというのが手法の基本的考え方です。
認知療法は主に理性的思考に働きかけようとしました。
精神分析は無意識感情を意識化するだけで、それをどうこうする方向性は言いませんでした。
島野ハイブリッド心理療法では、まず理性的思考において、ターゲットとすべき「新しい生き方」の習得をします。
「自己建設型」の生き方へにその「新しい生き方」の説明を収録しました。
そのつぎに、「改良型」の精神分析的なアプローチで、無意識化された感情に取り組みます。
これを「感情分析」技法による人格改善治療で説明します。
無意識領域の感情への取り組みは、しばしば「カタルシス」と呼ばれる緊張放出効果がありますが、これは一時的です。
意識の根底が変わらなければ、もとに戻りがちです。
意識的理性での建設的な姿勢と、無意識的から湧き出る悪感情のぶつかりあいが、病んだ心を真に克服する過程を促すと考えます。
このように、理性と感情のそれぞれに違ったアプローチをして、やがてその両者のぶつかり合いに、治癒の原理を考えている心理療法、それが島野ハイブリッド心理療法です。
とにかくこれ以上理論の細かい心理療法というのも、他にはなかなかないでしょう。
実際に心理障害に悩まれる方や、専門家の方など、それぞれの立場の方にどのように読んで頂きたいかのコメントを、ご案内に収録しましたのでご一読下さい。
2003.6.23