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ハイブリッド心理学辞典
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実践の学び
 実践-4 「愛」「自尊心」「人生」のための価値観と行動法

実践4-2 価値観への取り組み
基本説明価値観の理解  自分の価値観の自覚  価値観の選択転換  価値観転換の集大成としての「否定価値の放棄」 最終更新:2021.8.5
基本説明 
「価値観」への意識的取り組みについてまとまって記述したものとしては『実践編上巻』があり、要旨としては3つポイントになるでしょう。(*1)
1)まず「価値観」について幅広く理解する。
2)「この価値観のつもり」という自分への建前思考脱しながら、自分実際にどんな価値観取っているのかを把握する。
3)その上で、「価値観の選択」好きできるものではなく取り組み実践を通して「真実と思えるもの」スポットライトを当てていく作業繰り返していくしかない。
というようなものです。
「価値観に取り組む」とはどういうことか、ここで島野としての最終説明まとめるならば、ポイントとしてはやはりその3つになるでしょう。その上で「価値観の選択」とは結局どういうことかについて考察一歩進めて、要点以下のようにまとめることができます。

1.「価値観」について幅広く理解する
「価値観」とは何か、そしてそのテーマ価値観選択肢について理解する。これは「実践4-1 「価値観」の理解」でまとめたものがその内容になります。まずはこれを「知識」としてもれなく覚えることが重要です。

2.「自分が選択している価値観」を把握する
「価値観への取り組み」キモここからになるでしょう。実際自分がどのような価値観選択しているのかを自覚把握する。
これは意識実践としては、@日常での「価値観整理思考」、そしてA感情動揺悪感情根底にある価値観自己分析、という2側面から成ると言えるでしょう。

@日常の「価値観整理思考」
まずはごく日常思考として、どのよう思考感情どのよう価値観表れとしてあるかを整理できる思考持つようにします。
これは自分のことか言動についてかを問わずです。どちらか言うにあるその材料広く眺め検討確認する意識実践であり、まずは自分取り組み問題材料ではなく幅広く、ということになるでしょう。国語エクササイズのような意識作業になると言えるものです。
たとえば勝ち負けこだわる様子の底には、「打ち負かし自尊心」があるでしょうし、人間関係悩み「愛」「分かり合い認め合う」こととする価値観があることを、その人言動端々から拾い見ることができるかもしれない。「何歳にもなって就職もできないなんて」といった言葉言う人は間違いなく「道徳主義・優劣評価主義」生きている人でしょう。
時代流れとして取り上げられることの多い「SDGs」「LGBT」といったテーマについてどう考えるか前提に、「世界観」「人間観」など多少とも科学的思考としてのその人思考あり方関係するでしょう。そうしたテーマについてこれこれ意見言う人は、これこれ「世界観」「人間観」があるだろう、と整理する思考ができることが、まず実践課題になります。自分これこれ「世界観」「人間観」なので、自分はそれらのテーマこれこれ意見だ、と。
このように「価値観整理思考」ができることで、もし価値観異なる思考感情がどう変わり得るかという、「価値観の選択転換」つながる心の視野得られるようになります。

A感情動揺や悪感情の根底価値観の自己分析
自分取っている価値観自覚は、基本的には、感情動揺時慌てて行えるものではなく上記日常価値観整理思考よってになるでしょう。
ということは、感情動揺時自己分析自身価値観選択について自覚することとは、まず言って今まで「自分の価値観はこう」と考えていたこと偽り、あるいは自分への建前やポーズのような思考でしかなかった事実、といったことになるでしょう。これは心の未熟からの歩みにおけ不可避的通過点とも言えるものです。未熟において自分へのポーズ生きる・・とは限らないとしても、自分へのポーズ生きるのが「未熟」一つであり、そこから抜け出し偽りのない自分生きるようになるのが、未熟から成熟への歩みだと言えます。島野『悲しみの彼方への旅』においても、大学3年時自己分析取り組み初期において、理想論者仮面自らはがしていき、「この世界は万人の万人に対する競争なのだという攻撃性の哲学が自分の中にあることを自覚」したといった記述があるように(*2)。
一方、意識思考としてはもう十分偽りなく心の成長成熟方向づけられたものを選択しているにもかかわらず、それと逆行する価値観に根ざしたような感情自分で働いて感情動揺もたらしていたことの自覚というのは、成長成熟への歩みかなり後半になっても、というか最後まで自己分析において成され得るもの、さらに言えば自己分析重要役割を演じる筆頭のものであり続けます。そこで「逆行する価値観に根ざしたような感情」と指すものとは、「自分を偽った価値観思考」ではなくその人残っていた未熟な心そのものであり、それを原点としてどこに向かおうとするのかが、意識的価値観思考です。そして成熟完璧ない限り自分未熟な感情向き合い、それを超え得る価値観姿勢によって乗り越えていくという前進が、生涯続き得るということです。

3.「価値観の選択転換」とは
ではそのように、価値観整理思考自己分析によって自分価値観「自覚」するとして、「転換」どのような意識作業として成されるのか。
これについての島野考えは、「価値観転換思考」あるいは「価値観転換のための意識作業」として単独呼べるようなものはない、というのが結論です。
「価値観の選択転換」とは、その人心の成長成熟に向かう姿勢全体、そして心の成長成熟において前進した事実の、意識表現一つ側面なのだ、と考えます。それは心の成長成熟結果でもあり準備でもある、とも言えると考えます。
これは未熟からの歩み考える分かりやすいでしょう。まず価値観思考できること自体に、ある程度年齢段階必要であり、はそこで誰もがそこから人生歩む、あるいは生育環境によって方向づけをされた、未熟な価値観から始まるでしょう。たとえば「愛され自尊心」「打ち負かし自尊心」といった自尊心価値観がその代表です。それが「生み出し自尊心」転換するためには・・もちろん建前ポーズなしには、多少とも実際社会人経験積むことが必要でしょう。そしてはっきりとその転換へと意識方向づけられることで、その人人生歩み一段ギヤ上げ、そこからさらに本格的心の成長成熟向かう、というように。
ですので、「価値観の選択転換」取り組むとは、結局のところ、あくまで取り組み実践全て向かう中で、上記価値観理解自分価値観自覚進め心の成長成熟向かう価値観への確信的納得ないものについて問い続ける、というものになります。

・価値観転換の集大成としての「否定価値の放棄」
そのように心の成長成熟結果でもあり準備でもあるものとしての価値観転換集大成そしてハイブリッド心理学「取り組み実践」「習得目標」とも位置づけられるものが、「否定価値の放棄」です。
これは心の成長成熟そして取り組み実践歩み流れとしては、「実践4-1 「価値観」の理解」でまとめたもの全て含め実践の学びに示された意識取り組み思考法行動法習得され、実際体験積み重ねよって得られるものとしての「真の強さ」というものを足場にして、「信仰」領域価値観についての探求加えることで、「自分が神になろうとする無意識衝動」としての「否定価値感覚」自分自身自覚心の根底から捨て去るものと位置づけられます。
そのように、前提足場となるだけの心の成長成熟獲得、そして幅広く深い意識テーマ全体探求前進といった条件整う必要があることから、「否定価値の放棄」真に問えるのは、人生段階としても「壮年期」呼ばれるような中盤段階以降になるだろう、というのがハイブリッド心理学考えです。
一方「否定価値の放棄」成されることで準備される、その先心の成長成熟は、それまで得られた成長成熟比ではない、次元異なる大きなものへの開かれます。
これは「否定価値の放棄」が、その人閉ざされ蓋をされていた、心の成長成熟向かうためのエネルギー最も核心部分を、開放するからです。その核心部分とは、この心理学「魂」呼ぶものです。それを閉ざしていた「否定価値感覚」とは、「自分から不幸になる」という、私たち人間心の業(ごう)正体だとハイブリッド心理学考えるものであり、「否定価値の放棄」が、それを克服し、「幸福」へと自ら向かうための私たちのエネルギーを、その本来姿において開放するものになります。そしてそのエネルギーによって前進することで、私たちに人生の開花への、そしてそれを歩むことによる異次元心の成長成熟への開かれるのだ、と。

そのようなものとして、「否定価値の放棄」が、ハイブリッド心理学「取り組み実践」ひとまず「習得達成目標」になるものであり、一方心の成長成熟最も真髄部分は、この「習得達成」によりもたらされる、のではなく、それによって開放されるエネルギーによって歩むそこからの、全てにおいて唯一無二人生歩みそのものが生み出します。
「否定価値の放棄」の、こうした人生歩み流れにおける位置づけ、そしてそれが人間心の業克服該当するものであることは、「全体−1 ハイブリッド人生心理学が目指すもの - 4つの通過道標」そして「歩み1-1 「心の問題」の全体の理解 - 「否定価値の放棄」・・・「心の業」の根本的克服」で簡潔説明しています。
「否定価値の放棄」そのものの、意識的前提やその問いテーマ内容、そしてそれが成されることによる変化捉え方などついては、実践-6 「否定価値の放棄」の根本的選択詳しく説明します。そしてそれが成される先に、私たちの訪れ得る異次元心の豊かさというものについては、歩み-5 人生の歩みと最終的克服整理したいと思います。
*1 実践編上巻 9章 価値観と行動学 −進み得る道はただ一つ−
*2 『悲しみの彼方への旅』 P59



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