はじめに・「取り組み実践」とメール相談 掲載方法について 島野のメール相談活動 代表的事例 テーマ別事例 |
No.005 不安障害の底にあった「怖がる価値」 アドバイス内容(2) | |||||
1-2回目アドバイス:仕事の外面的調整からのアプローチ 「仕事量や作業環境の調整」という、ごく外面的対処の検討はあまり役に立たなそうということで、考え得る他の検討ポイントをNo.005さんに伝えてみます。 ここでは、「こんな心理メカニズムがあるが、自分に当てはまると感じますか?」という伝え方でです。当てはまるかどうかの白黒というよりも、こちらからの言葉に反応してどのような言葉がご相談者から引き出されるかの中に手がかりを探すという、手探りになります。 まず3回目アドバイスでは、「パニック不安というよりも対人不安では?」という視点で問題の特定化は図ると共に、「恐怖の克服」について少し説明を伝えてみています。 精神分析の技術に関心のあるNo.005さんの、「糸口とは、どんな目的で、どんな方向に、誰が見出すのか」といった質問に対して、ごく手短に一般的な返答のみ返しています。難しい話でもありメール相談ではちょっと説明が難しかったということでもありますが、改めて、「自己分析の技術」とは何かというテーマについて、この事例紹介の最後に少し説明を書いてみましょう。 3回目アドバイス 2008.5.29(木)
実はこのアドバイス文面は、問題の核心を正面から突くことを、少々避けているようなものであるのを、今読んで感じます。 つまり問題の核心を言うなら、こうなるでしょう。 No.005さんのパニック不安とは、内容としては対人的なものではないか。もしそうであれば、性格が合う合わないといった些細なことは流して、「原理原則行動法」という社会行動のノウハウの真髄にもっと目を向け、「正しく安全を知り、恐怖を生きる」という姿勢によって、その不安も克服できるでしょう。 それがこのアドバイス文面では、そうした核心表現はせず、「対人不安では?」「恐怖の克服とは」「原理原則行動法への理解は?」と、話をあまりつなげることなく、言わば小出しに持ち出している風情です。 これは一つには、複数のメール相談対応の中で、私自身の見立てと文章をじっくり練る時間的余裕が限られながら書いているため、多少文章の完成度はそれほどでない段階で送らざるを得ない面があったのが一つ。 あともう一つには、問題の核心を突いた文章は、得てしてご相談者から「島野さんから否定された!」というようなマイナス反応を招くことがあるという経験的予測から、話を小出しにしてご相談者の反応を探り、それから次に話を進める部分を定めるという姿勢があったという面によります。 いずれにせよ、このアドバイスへのNo.005さんの反応は、的(まと)がそこにあるのか、やはりあやふやな様子。 ご相談者返信(抜粋編集)
ということで、必ずしも「対人不安」ということではなさそう。結果、対人行動法について検討を進めようとも、「通信教育を受けているよう」に、ただ知識確認をするようなあまり役に立つ視点でない様子。 「自力では、話の進展もない」、そしてその言葉に、No.005さんがこのメール相談で前進が感じ取れない様子が現れ始めてもいます。 ともかく私としてできるのは、その時点でハイブリッド心理学の取り組み視点として整理できているものから、No.005さんに関係しそうなものの残りを伝えてみることだけです。 「感情と行動の分離」がそもそもうまくできていないのではという視点、および「価値観」の視点です。これも結局は知識確認やり取り程度の、薄いものになりますが。 4回目アドバイスヘ 2015.8.29 |