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V.実践の概要説明 V−2.実践項目一覧とその概要 「11.未知の心への変化の理解」関連 |
V−2.実践項目一覧とその概要 |
「11.未知の心への変化の理解」関連 どのような取り組みの歩みによって、どのような心の治癒・成長・成熟が得られるかを理解します。もちろん、それを望むことで、取り組み実践、そしてそれを活用しながら生きる人生の日々へと、より力強く向かうことができるようになるためにです。 外面では「成長」があり、内面において「治癒」「成長」そして「成熟」があると言えます。外面において「成長」とは、建設的な思考法行動法への熟達や、より大きな価値を生み出す能力の増大です。内面において、「治癒」とは心身のストレスや、「空想に乗っ取られる」傾向(10-4参照)の減少と脱却であり、「成長」とは「望み」がより大きく豊かになり、心が揺らがなくなる場面の広がりです。そして「成熟」は、愛されることを必要とすることなく自ら愛せるという、心の豊かさの増大です。 外面と内面のどちらが大切かという皮相な択一思考は、何の役に立つものでもありません。全体的には、外面向けの建設的な思考法行動法への熟達が、心の「成長」の基本的な原動力になるでしょう。一方、建設的になり得ない内面感情の解きほぐしが、「治癒」につながります。そして「成熟」は、外面と内面の全てを、「愛」という人生の大きなテーマに向けて生きる過程のみが生み出すことを、知っておくと良いでしょう。 一つ一つの実践項目つまり「姿勢」や「思考法行動法」の熟達は、もちろん「頭で」進めるものですが、それによる上述の「治癒・成長・成熟」の「心の変化」自体は、もう「頭で」生み出すものではなく、「命」の力つまり「心の自然治癒力と自然成長力」のみが生み出せるものです。ですから「今成すべきこと」を実践したあとは、心の変化そのものについてはもう「命」の力に委ねるという姿勢が大切です。良い感情ほど、頭で生み出すものではなく、悪い感情ほど、頭で空想をこねくり回した挙句に湧き出るものだと言えます。取り組み実践の全てが、「自分の心」そのものを「自意識」でどうこうしようとする悪あがきの惑いを捨て去る方向に向かうものであることを、ぜひしっかりと理解して頂きたいと思います。 「外面の成長」主導の「内面の成長」は、建設的な思考法行動法への熟達に導かれて、内面も次第にプラス感情が増えてくるという、穏やかな上昇のものになります。 一方、内面で独自に起きる「治癒・成長・成熟」は、多少とも劇的な内的体験による節目変化になるという流れを言うことができます。そうした劇的な内的体験とは、「5 自己分析による洞察」「6 心の膿を流すカタルシス治癒」「7 心の崩壊と再生」「8 新しい一歩への勇気」「9 魂の精神世界」そして「10 心の闇との決別」さらに下にあげる「11-2 抜け出し体験」という一連のもの全てが該当します。そこでは、「受け身意識」の「乳歯の心」と「自己能動意識」の「永久歯の心」(「W-1.3「2つの心」 と「感情と行動の分離」の深まり」)との間で、「受けとめ」「転換」「抜け出し」といった心の動きが起きていると考えられます。 重要な点は、そうした内面変化は必ず、自分自身の中で、全く異なる心のあり方に向き合うことで成されることです。それなしに、本人は受け身意識一辺倒のまま、カウンセラーなど他者によって内面変化を導くことは、一般に困難を極めます。また取り組み法としても、自己啓発型のハイブリッド心理学とは全く異なる分野になります。 ですので、「感情と行動の分離」からの実践全体がうまく進まないケースでは、まず「永久歯の心」の芽と足場の模索に焦点を合わせるのが良いでしょう。 |
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受け身意識で「自分」を感じる心の惑いからの「抜け出し」は、内面の「治癒・成長・成熟」の節目変化を生み出すものとして、生涯にわたり一貫として「未知の自分」へと変化していく転機になるものだと言えます。心の治癒・成長・成熟の過程の全体を理解する先に、私たちは自らそれにより積極的に向かっていくことができるようになります。 |
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